一昨日、ブラジルのリタイアメントビザについて書きましたが、今日は投資ビザについて書きます。
他国の投資ビザはたいてい数千万円の資金が必要となるのですが、ブラジルの投資ビザは500,000レアル(約1,040万円)の投資で取得出来ます。
概要
- 50万レアル(約1,040万円、※)の投資を行う
- 新規の企業、あるいは既に存在する企業に対して
- 先進的なスタートアップであれば、15万レアル(約310万円)以上
- 有効期限は無期限
- 滞在義務は無さそう
※: ブラジルの通貨レアルは長らく下落傾向にあり、3〜4年前に比べると2/3に、7〜8年前に比べると約半分になっていますで、以前と比べるとかなり安く取得出来ます。
ビザの概要は、意外にも以下のジェトロのページが分かりやすいです。
外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | ブラジル – 中南米 – 国・地域別に見る – ジェトロ
取得の方法
流れ
投資ビザは既存法人に対してでも新設法人に対してでも取得可能ですが、新規で法人を設立する方が面倒な点も少ないので、以降は法人設立 → ビザ取得という前提で記載します。
- 日本で必要な書類を集める
- 納税者番号(CPF)の取得
- 法人設立、登録
- 法人銀行口座の開設
- 投資資金の振り込み
- 事前に中央銀行に投資の登録が必要
- オンラインでビザ申請
- 記入方法はこちら
- 最後のページを印刷する
- 「復元コード」を控えておく
- ブラジル領事館にてビザの申請
- 大使館ではビザ関連の業務は行っていませんので注意して下さい
- 申請が許可されたら、領事館にてパスポート・ビザの受け取り
- ブラジルへ渡航
- 外国人登録等
以下の在東京ブラジル総領事館のページも参考にして下さい。ただし、法人設立関係の手順などは記載されていません。
法人設立に関しては、以下のページで概要は把握出来ます。ただ、詳細に関しては現地の代行業者・弁護士などに相談することをお勧めします。
外国企業の会社設立手続き・必要書類 | ブラジル – 中南米 – 国・地域別に見る – ジェトロ
必要な書類
法人設立
会社形態は色々ありますが、有限会社(Sociedade Limitada / Limited Liability Company)の場合を記載します。
- 代表者に関する書類
- パスポートのコピー
- 納税者番号
- 会社の定款
- 所在地の証明書
- バーチャルオフィスなども可
ビザ
- 有効なパスポート
- 写真1枚
- オンライン申請書(記入方法)
- 無犯罪証明書
- 家族関係、両親名、出生地を確認できる書類のコピー(婚姻証明書、出生証明書または戸籍謄本)
- 日本以外の国籍者の場合、在留カード原本とその両面コピーまたは有効な日本滞在ビザのコピー
- 査証料 13,000円
補足
審査について
在東京ブラジル総領事館のページでは「雇用および所得を生み出す可能性のある場合」に適用されると記載があり、ブラジルでそれなりにちゃんと運営しないと取得出来ないのでは、と思われるかもしれません。
建前としてはそうなっているのですが、実務上は、正当な手続きに沿って50万レアル以上投資した場合には、基本的には許可されるようです。(投資金額15万レアル以上という先進的なスタートアップ投資に基づくビザ発行の場合には、ビジネスの観点から精査されるようですが。)
2017、2019年に制度が改正されている
投資ビザに関しては2017年に、投資ビザも含むビザ全般に関しては2019年に制度が改正されています。
投資ビザ関連ですと、その間に以下のような変更点がありましたのでご注意下さい。
- 取得に必要な金額が15万レアル → 50万レアルに変更
- 永久査証(永住ビザ、permanent visa、VIPER)は廃止
それ以外の選択肢
今回は法人を設立して投資ビザを取得するという方法を紹介しましたが、それ以外の選択肢をいくつか紹介します。
1つ目は、2日前に紹介したリタイアメントビザです。詳細は、以下のページをご参照下さい。
2つ目は不動産投資です。実は、投資ビザは今回紹介した法人への投資と、不動産への投資で分かれています。不動産投資の場合は、100万レアル(約2,070万円)以上、田舎の場合には70万レアル(約1,450万円)以上の投資が必要で、本ブログの対象からは少し外れてしまいます。
ブラジルの一時滞在ビザに関しては、英語ですが Wikipedia の記事が割とわかりやすくまとまっていましたので、リンクを貼っておきます。
Visa policy of Brazil – Wikipedia
ブラジルについて
最後に、ブラジルという国について簡単に紹介します。
広大な国土
ブラジルは世界で5番目に広い国です。リオデジャネイロ、サンパウロのような大都会もあれば、アマゾン川流域の熱帯雨林に覆われた地域もあり、個人にあった移住先を選べるのも魅力の一つです。
南米最大の経済大国
ブラジルは南米一の経済大国で、近年は若干低迷していいるものの世界全体でも10位前後に位置します。貧富の差は大きいですが、全体としては比較的豊かな国であり、都市部に住むのであれば生活に困ることは無いと思います。
日本人・日系人も比較的多い
南米最大の経済大国ですので日本企業が多数進出しており、サンパウロには(現在は東洋人街と改名されていますが)日本人街もあります。
海外に移住する人の中には、完全に現地の生活に溶け込む方もいますが、大半の人は多かれ少なかれ日本の生活様式を残しながら海外で暮らします。そうした時に日本人や日系人のコミュニティ、あるいは日本の食材などが買えるお店などがあると心強いです。
治安はあまり良くない
ブラジルですが、全般的には治安が良くありません。以下の外務省のページで概要が分かるかと思います。
以下のブロガーさんのページもわかりやすく情報がまとまっていました。
ブラジル治安・コロナ危険情報2021年最新!旅ブロガーが教える注意点と9つの安全対策 – 子連れ旅ブロガーmariのオハヨーツーリズム
とはいえ、ブラジルは広い国ですし、全ての都市・地域が危険というわけでもありません。ブラジルは貧富の差が大きい国と書きましたが、一般的に富裕層が住む地域であれば治安も良いです。
いずれにせよ、移住する場合には事前に入念な調査をすることをお勧めします。命より大切なものはありません。
まとめ
ブラジルの投資ビザは、法人を設立して約1,000万円を投資することにより取得出来ます。リタイアする人であればリタイアメントビザの方が必要な金額も少なくお勧めですが、南米に事業を展開したい方にとっては、今回紹介した、南米最大の経済大国であるブラジルに法人設立をして投資ビザを取得する方法が最適です。