インドネシアが近いうちにデジタルノマドビザを導入する予定という発表がありました。検索すると色々なページが見つかりますが、以下のニュース記事が(私が見た中では)一番詳しく記載してありましたので、こちらを参照します。
Minister Confirms Plans For Bali Digital Nomad Visa In Final Stages – The Bali Sun
概要
- 導入時期は未定だが、近いうち、らしい
- “Indonesian Digital Nomad Visa is entering the final stages of preparation and will soon be open for applications” とのこと
- 5年間有効
- インドネシア国内では無税
- 申請に必要な要件・費用等も未定
導入のインパクト
インドネシアへの長期滞在希望者にとっては福音
インドネシアには今まで、簡単に長期滞在が可能な現実的な選択肢は、55才以上が利用可能なリタイアメントビザを除き(以下のリンク参照)、存在しませんでした。また、リタイアメントビザも毎年更新が必要という使い勝手の悪いものです。
55才未満の人にとっては、ビザ無しで渡航して延長(1度だけ可能)と visa run を繰り返す、くらいしか方法がありませんでした。
デジタルノマドビザが導入されれば、55才未満の人が合法に長期間滞在できる方法が出来るため、インドネシアに興味ある人が数多くインドネシアに渡航することが見込まれます。
他国でも同様の制度が出来る可能性も
現状、東南アジア諸国ではデジタルノマドビザの制度がある国は(私の知る限り)存在しません。また、マレーシアの MM2H の条件が厳しくなったり、フィリピンの SRRV がコロナ後は50才以上の申請のみしか受け付けていないなど、比較的若い年齢層の人たちがそうした国に滞在するハードルが上がっています。
そんな中、インドネシアにデジタルノマドビザが導入されれば、元々はマレーシアやフィリピンなどに行こうとしていた人たちの一定数がインドネシアに流れるものと思われます。そして、インドネシアのデジタルノマドビザが、もしインドネシア経済に好影響を与えることになれば、他国もそれに追随しようとするはずです。そうした観点からも、インドネシアのこの制度には是非成功して欲しいです。
インドネシア国内では無税、について
この項は税金に関することなので、お約束のお話を。
免責等
私は税理士ではありません。私の顧問税理士やインターネット上の税理士さんの意見など、専門家の意見を参考に、なるべく正確な内容を記述するよう努めていますが、内容の正確性などに関しては一切保証出来ません。
また、私は税理士では無いので、この件に関する質問・相談にはお答えできません。(税務相談は、税理士の独占業務のため。)
今までは所得税を日本で払うケースが大半
概要に書いた通り、同ビザでインドネシアに滞在した場合、リモートワークでの収入はインドネシア国内では無税となるようです。
従来インドネシアに滞在していたデジタルノマドは、前述の通りビザ無しや観光ビザなどで滞在していました。そして、観光ビザではグレーゾーンであるリモートワークを行い、所得税は自身の本来の居住国(日本)に納税するという人がほとんどだったと思います。インドネシアでの滞在は、(visa run などで長期だったとしても)観光ビザという性質上、インドネシアの滞在は一時的で、本来の居住地は日本である、という理屈です。
今後は所得税支払いが不要となる場合も
今回のデジタルノマドビザのメリットは、
- 従来のように visa run を繰り返す必要がなくなる
- インドネシア国内でインドネシア国外向けのリモートワークを行うことが正式に認められる
というだけと思う人がいるかもしれませんが、個人的には
- ビザは最長5年間有効、つまり、インドネシアが居住地と認められる(可能性が高い)
というのもインパクトが大きいと思います。
インドネシアが居住地と認められると、フリーランスの人などは、所得税を日本で納税する必要がありません。つまり、日本でもインドネシアでも納税する必要がなくなります。
法人役員の場合はフリーランスと税金の処理が異なりますので、以前書いた以下の記事を参照してください(会社員の場合は後述※)。
※: 住所が海外、かつ日本の会社の(現地法人とかではない)会社員というケースはかなり稀だと思うので調べていません。会社員の場合は、大半は以下のいずれかだと思いますし。
- 海外に住みつつも住所は日本に残して、日本在住として処理する(税金的には日本と同じ)
- 海外の現地法人に転籍・出向となる(税金的には現地人に準ずる部分が多い)
- 海外在住に伴い、業務委託契約に切り替え(どこで納税するかなどは(源泉徴収を除き)本人に委ねられる)
日本に生活の拠点があるとみなされないことが重要
上述の通り、インドネシアに住所を移せば、フリーランスの場合は日本での所得税の支払いは不要ですし、会社役員の場合も20.42%の源泉分離課税となりますが、前提としては日本に生活の拠点があるとみなされないことが重要です。
過去の税金関連の裁判でも、1年の大半を海外で過ごしていたとしても、日本に生活の拠点があると日本で課税されます。そして、「日本に生活の拠点があるかどうか」は総合的に判断されます。
節税だけの移住はあり?
では、節税だけを目的としてインドネシアに移住するのはアリでしょうか。もちろん、収入、求めるライフスタイルなどによって最適解は異なるかと思いますが、個人的にはナシだと思います。詳しくは、別の機会に書こうと思います。
まとめ
時期は未定ですが、近日中にインドネシアでついにデジタルノマドビザが導入されるようです。大都会ジャカルタ、サーファーの聖地バリなど、インドネシアに滞在を希望する人は多かったと思いますが、今までは長期滞在可能なビザが(リタイアメントビザを除き)ありませんでした。このデジタルノマドビザには期待大ですので、続報を待ちたいと思います。
こんにちは。
移住情報、有難うございます。
インドネシアのデジタルノマドビザは、リタイアメントビザ取得できない
55歳未満にはいいですね。
我が家は家内が55歳にあと1年ちょっとなので、リタイアメントビザが
いいかなと検討しておりました。
別件ですが、カンボジアにて、マレーシアMM2H版のCM2Hが新設
されたようです。
まだ不明な点が多いので、また紹介して下さい。
コメントありがとうございます。本業の関係で、返信が遅くなりすみませんでした。
> 別件ですが、カンボジアにて、マレーシアMM2H版のCM2Hが新設
されたようです。
貴重な情報をありがとうございます。調査して記事にしようと思います。
なお、他にも記事にしたい情報が色々あるのですが、なかなか手をつけられていません。今年いっぱいは忙しい見込みですが、少しずつ手をつけていこうと思うので、宜しければまたサイトを見に来てください。