イタリアの「リタイアメントビザ」

イタリアにはリタイアメントビザという名前ではありませんが、リタイアした人が取得可能なビザがありますので、今回紹介します。

概要

ビザの名前は、英語で「Elective Residence Visa」、イタリア語では「Visto per residenza elettiva」で、日本語にすると「選択的滞在ビザ」という感じでしょうか。後述する通り、イタリアに住むことを選択する人向けのビザです。

  • 18才以上であること
  • 最低31,000ユーロ/年(約403万円)程度の不労所得(年金・配当など)があること
    • 個別の状況に応じて判断されるので、もっと多くないとダメな場合もあるようです
  • イタリア国内に住居が必要
    • 賃貸でも購入でも可能
  • 就労は不可
    • リモートワークも不可
  • 1年間有効
    • 更新可能
    • 更新後は、有効期間は2年間
  • 6ヶ月以上連続でイタリアを離れていると更新不可

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スペインのリタイアメントビザ

スペインにも退職者向けのリタイアメントビザの制度があるのですが、在日スペイン大使館等、日本語での公式情報は見当たりません。以下が理由のようです。

年に何回も規定が変わることから、大使館では情報の錯綜を防ぐために情報の公開を避けています。

ヨーロッパ・リタイアメント制度一覧

ただ、在米スペイン大使館のサイトに情報があるので、そちらを中心に情報をまとめてみました。頻繁に変わる可能性があることにご留意下さい。

概要

  • 年齢制限は無し
  • 必要な収入は25,560ユーロ/年(約332万円)、2,130ユーロ/月(約28万円)
    • 不動産収入、給与収入は対象外
  • 就労不可
    • スペイン国外の企業向けのリモートワークは可能?(詳細は後述)
  • 有効期間は1年、以降2年ごとに更新
    • 5年経過後は、永住権の取得可能
  • 年間183日以上、スペインへの滞在義務あり
    • 満たさない場合、ビザの更新は不可
  • 正式には「非営利目的査証」(英: Non-Lucrative Visa、西: Visado de Residencia No Lucrativa)

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チェコにフリーランスとして移住する

本サイトでは、日本から近い東南アジアの国の紹介が多かったのですが、今回は東欧のチェコにフリーランスとして移住するという内容を書きます。個人的にも、チェコには知り合いが住んでいたり取引先があったりと馴染みのある国です。

概要

開業届とビザは別物

チェコにフリーランスとして移住する方法ですが、大まかに言うと

  • チェコでフリーランスとして開業届(Živnostenský list、略称 Živno、英: Trade license)を取得する
  • 開業済みのフリーランスとして、長期ビザ(Long-term visa、半年間有効)を取得する
    • その後、長期滞在許可(Long-term residence、最長2年有効)の取得が可能

という仕組みです。

制度概要

  • 開業届(Živno)
    • 社会保険、健康保険、納税の義務が発生
    • 業種の制限は少ない
  • 長期ビザ
    • 生活費として、銀行口座に124,500コルナ(約63万円)が必要
    • 最初は6ヶ月間有効
  • 長期滞在許可
    • 最長2年間有効、更新可能
    • 数ヶ月チェコを離れていても問題無いが、長期間だと更新できない可能性もある模様
  • チェコに5年間滞在後、永住権の申請が可能

チェコは制度が良く変わるようなので、詳細は在日チェコ大使館に問い合わせるのが確実です。

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ウクライナの「投資」永住権は約1100万円〜と比較的安価

本サイトでは基本的に投資家用ビザは扱わないと書きましたが、ウクライナでは10万ドル(約1,100万円)以上という比較的低額な投資金額で永住権取得が可能なため、今回記事にまとめました。

ウクライナ投資永住権概要

  • 10万ドル(約1,100万円)以上の投資が必要
    • どんな投資でも本制度の対象となるわけではありません
    • 実務的には、ウクライナ法人を設立して資本金として10万ドルを投資するという形です
  • 10年毎に更新
    • ID カードの期限が10年間
  • 滞在義務が無い
  • 就労可能
  • 家族の永住権は、本人が永住権を取得した後で申請

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ジョージアのリモートワークビザ

ヨーロッパとアジアの境あたりに位置する、旧ソ連のジョージアでも、リモートワーカー向けのビザがありますので、それについて紹介します。正式名称は “Remotely from Georgia” というようです。以下、申し込みフォームです。

Remotely from Georgia Application Form
(2022年4月17日現在、フォームが inactive となっていて申し込み出来ません)

日本人はビザ無しでも1年間滞在可能

ただ、いきなり話の腰を折ってしまいますが、そもそも日本人であればジョージアにはビザ無しで1年間滞在可能です。

滞在の条件は以下の通りです。

  • 日本国籍(日本を含む50カ国)
  • 6ヶ月以上有効なパスポート
    • 査証欄の空きが1ページ以上
  • 滞在期間をカバーする旅行保険の加入

知る人ぞ知るという感じではあったのですが、実はジョージアはビザの取得や入国に関する規則が緩い国です。

  • ビザ無しで1年間滞在可能(上述の通り)
  • 一度、隣国に出国した後、再度ジョージアに入国すると再度1年間滞在可能
  • リモートワーク等の労働は可能(※)

ただ、場合によってはビザ無しより Remotely from Georgia のビザを取得した方が良いケースもあると思いますので、それについては後の方で記載します。

※: 多くの国では、ビザ無し渡航は観光や仕事での出張を想定しており、現地で仕事をして定住するという事は想定しておらず、法的にはグレーゾーンです。実際に警察や入管から指摘されることはほとんどありませんが。

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ポルトガル D7 ビザ、滞在許可証

D7 ビザは、年金などの収入がある人がポルトガルに4ヶ月滞在可能なビザです。その後、現地で1年間有効(その後は2年ごとに更新)滞在許可証を取得出来ます。

D7 ビザ(4ヶ月間有効) → 滞在許可証(1年間有効)

という流れであり、D7 ビザと滞在許可証は別物なのですが、本投稿ではまとめて説明します。

D7 ビザ概要

D7 ビザは以下の特徴があります。リタイアメントビザの1つと分類して良いと思います。

  • 年齢制限無し
  • 年に6ヶ月の滞在義務
  • 4ヶ月間有効
    • 現地で1年間有効(その後2年ごとに更新)な滞在許可証(residence permit)が取得可能
    • 5年後に、5年間有効な「永住権」を申請可能
  • 家族も滞在可能
  • 銀行口座開設可能
    • 証券口座も開設可能
  • 就学可能
  • 就労(現地の企業に雇用される)は不可
  • 現地の健康保険制度を使用可能

最初にも書いた通り

D7 ビザ(4ヶ月間有効) → 滞在許可証(1年間有効)

という流れですが、業者などによっては

  • 「D7 ビザ」を「D7一時ビザ (temporary D7 visa)」
  • 「滞在許可証」を「D7ビザ (D7 visa, permanent D7 visa)」

と言っている場合もあるので注意が必要です。

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