シンガポール法人設立→移住の最安値は?

今まで、フィリピンの SRRV、タイランドエリートなど、300万円程度から取得可能なステータスについて書いてきましたが、今回はシンガポールに法人を設立して現地で働くにはいくらかかるのか、について書いていきます。

シンガポールに住むメリット・デメリット

シンガポールに住むメリットは以下の通りです。

  • 税金が安い
    • 所得税は最大22%
    • 法人税は17%(実効税率はさらに低い)
  • 治安が良い
  • 英語が公用語(訛りがきつい人も多い)
  • 各航空会社のハブとなっているので、各国への移動が楽

デメリットはそれほど無いですが

  • 家賃が高い(物価はそれほどでもない)
  • 観光名所などが少ない

あたりでしょうか。特に前者が大きいと思います。

シンガポール法人を設立して移住する方法

概要

シンガポール法人を設立しただけでは、シンガポールでの長期の滞在資格を得ることは出来ません。アメリカのデラウェア州に法人を設立したからと言ってアメリカの就労ビザを得られないのと同じ事です。

シンガポールでの滞在資格を得るためには、

  • シンガポールで法人を設立する
  • 法人の役員として就労ビザ(Employment Pass = EP)を取得する

という2段階が必要となります。

前提

本記事では以下の前提で話を進めます。

  • シンガポール法人を設立
    • インターネット上で完結可能な業種(IT、デザイン、コンサルティングなど)
  • 自分自身が法人の代表者として移住(最初は社員は雇わない)
  • 秘書役・会計事務所などは、割高な日系の会社では無く現地の会社を使用
  • シンガポールで自宅兼事務所を借りる

必要なお金

東南アジアのリタイアメントビザであれば、一度取得さえしてしまえば、それ以降にかかる更新料は大したことないですし生活費も日本に比べれば低いので、最初の取得や移住にかかる金額だけ気にすれば良いと思います。一方、シンガポール法人の場合、年間の維持費もそれなりにかかりますし、シンガポールの家賃も高いため、移住後のお金も気にする必要があります。

この方法で移住するために必要となるお金としては、以下の通りです。

  • 初期費用: 会社設立費用等
  • 毎年の維持費
    • 法人維持費用
    • 家賃(オフィス兼用)
    • 自身への給料

実際にどれ位かかるかを計算してみます。

必要なお金を大まかに計算

シンガポール法人の設立をサポートしてくれる会社は多数あり、法人関連の費用についてはそれらの会社のサイトに色々情報があるので、複数のサイトの情報などから金額を計算していきます。

法人設立関連費用

設立時に必要な金額は以下の通りです。

  • 法人設立サポート会社の費用 → S$1,000〜
  • 資本金 → S$1〜

シンガポール法人の最低資本金はS$1となっています。ただし、あまり低い額にすると、以下のリスクがあります。

  • 銀行口座が開設できない(マネロンのためのペーパーカンパニーと思われる)
  • 就労ビザ(EP)が取得出来ない

EP 取得のためにはS$100,000程度(約820万円)の資本金が必要という情報が多くのサイトに記載されていました。

法人の維持費用

維持費用については、以下のページが詳しかったので、こちらを全面的に参照します。

シンガポール会社設立費用と年間の維持費ー2020年度版 | シンガポールビジネスサポート

  • 暫定取締役の費用 → 自身が取締役として移住するので不要
  • 会社秘書役 → 「最低300シンガポールドル(年間)ー日本円で約24,000円程度ー」
  • オフィス(登記住所)費用 → 自宅を使用するので不要
    • バーチャルオフィスを使う場合も、金額はわずかなので省略
  • 会計費用 → 「年間の最低額は、900シンガポール・ドル(7万2千円)位から」
  • 年度末の政府への会計報告費
    • 会計監査 → 「3,000シンガポール・ドル(約24万円)」
    • 政府へ提出する税務申告費用 → 「最低で2,000(約16万円)シンガポールドル程度」

合計すると、S$7,200+α程度なので、余裕を見てS$8,000=約65万円/年でしょうか。

家賃

シンガポールの家賃は高いです。

  • 間取り(単身なのか家族がいるのか)
  • 場所

によって当然金額は大きく異なるのですが、本記事の趣旨としては「最安値」なので、以下の条件にします。

  • 郊外
  • ワンベッドルーム
    • ルームシェアではない

複数のサイトを総合すると、S$3000=約25万円/月が最安値のようです。東京で言うと、山手線内のあまり高くないエリアの2LDKくらいですね・・・

自身への給料

移住に必要な就労ビザ=EPを取得するためには、それなりの額の給与を支払わなければいけません。

ビザに関する説明としては、少し長いですが以下のページが詳しいです。

シンガポール就労ビザ(EP/Sパス)完全理解最新版-シンガポールで就労ビザに困ったらGPC(2021年5月7日更新) | Global Partners Consulting

最低給与はS$4,500/月なのですが、年齢、経験、さらに(上のページには記載が無いですが)学歴によっても違いがあります。具体的な金額については、以下のページが詳しいです。

【シンガポールビザ 2020年最新】日本人の年齢と出身大学別・最低給与額 | AsiaX

大雑把には、最低でも以下の給与が必要でしょう。

  • 30代 → S$8,000=約65万円/月
  • 40代 → S$9,000=約74万円/月

その他

他の国への移住と同様に、引っ越し費用、前家賃なども必要でしょう。ここでは詳しくは書きません。大雑把に約100万円としておきましょう。

まとめ

考慮すべき金額=初期費用+毎年の負担増

まとめると必要な金額は以下の通りです。

  • 初期費用
    • 法人設立費用: 約9万円
    • 資本金: 約820万円
  • 毎年の維持費
    • 法人の維持費: 約65万円/年
    • 家賃: 約300万円/年(○)
    • 自身への給与: 約780万円/年〜(○)
  • その他、引っ越し費用、前家賃など: 約100万円

初期費用は約930万円です(820万円+9万円+100万円)。

次に毎年の維持費ですが、○の部分は、日本でも同様のお金を支払っていたと思いますので、シンガポール移住に伴う負担増としては、現在の金額との差額となります。

例えば、現在、日本での家賃15万円/月=180万円/年、給与800万円/年だとすると、シンガポール移住した場合の毎年の負担増は、以下の通り約185万円/年となります。

  • 法人の維持費: 約65万円/年
  • 家賃の負担増: 300万ー180万=120万円
  • 自身への給与の負担増: 0円(780万円<800万円のため)

そして、確実に家が今より狭くなります。同じくらいの広さの家に住みたければ、家賃の負担はさらに増えます。

シンガポールに移住すべき人は?

シンガポールという国が好きで移住するのか、それとも節税目的で移住するのかで大きく変わってきます。

シンガポール自体が好きで移住したいのであれば、以下の金額を支払える人であれば移住出来ます。

  • 初期費用: 約830万円〜
  • 毎年の負担増: 人によって大きく異なるが200万円〜300万円/年
  • その他費用: 約100万円

ただ、節税目的となると、少なくとも「毎年の負担増<毎年の節税額」となる必要があります。かなり雑に見積もっても法人の利益が2000万円/年くらいは出ていないと、節税目的でのシンガポール移住はしない方が良いと思います。

余談

節税が目的であれば、フィリピン・マレーシアなどに移住して、法人のみシンガポールに移すという方法もありそうです。

なお、日本に住んだまま法人のみシンガポールに移しても「タックスヘイブン対策税制」のために節税になりません。

元々、私自身がシンガポール移住に興味があって書き始めた本記事ですが、結果として私自身はシンガポールへの移住はすべきでないという結論になりました。

私の場合、節税目的でのシンガポール移住の条件(初期費用が払える&法人の利益)には該当しません。また、仕事で何度かシンガポールに行きましたが、良い国だとは思いますが、移住したいとまでは思わなかったので。

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