フィリピン SRRV

本サイトの他の投稿でも何度か触れた、フィリピンの SRRV について説明します。

はじめに(コロナ関連)

2021年8月25日現在の情報として

  • SRRV の申請受付は50才以上の人に限り再開した模様
  • ただし、フィリピン国内に滞在している人のみ

ということのようです。従って、実質的には申請受付停止中とみて良さそうですが、今後徐々にフィリピン国外の人でも申請できるようになるものと思われます。

また、マレーシア MM2H と違って、以前と条件が変わったという話も無いようです。

なお、以下の発表がされたのは5/12ですが、実際に申請受付が再開されたのは割と最近のようです。

【領事班からのお知らせ】フィリピンにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応について(その106:SRRV申請の再開) | 在フィリピン日本国大使館

SRRV 概要

SRRV はリタイアメントビザの1つです。SRRV クラシックと SRRV スマイルという2つがありますので、合わせて紹介します。

  • 35才以上が申請可能
    • ただし、50才未満は、金額の条件が50才以上と比べると高い
  • 滞在期限の制限無し
    • 滞在義務は無し(一般的なリタイアメントビザと同様)
  • 預託金が比較的安価
    • スマイル: 20,000ドル (約220万円)
    • クラシック、35才以上50才未満: 50,000ドル (約550万円)
    • クラシック、50才以上、非年金受給者: 20,000ドル (約220万円)
    • クラシック、50才以上、年金受給者: 10,000ドル (約110万円)
      • 年金は単身者が800ドル(約8万8千円)/月以上、夫婦は1,000ドル(約11万円)/月以上必要
  • 家族のビザは2名まで追加の預託金無しで取得可能
    • 3名目以降は追加で15,000ドル
  • 銀行口座開設可能
    • 証券口座も開設可能
  • 就労も可能だが、AEP (Alien Employment Permit) の取得が必要
  • 外国人登録(ACR)は不要
    • ID カードの更新(1年ごと、※)は必要なので、ACR と手間はあまり変わらない
    • (他のビザだと、1年か3年ごとに ACR の更新が必要)
  • 申請手続きのため、現地で概ね30日以上の滞在が必要

※: 以前は3年ごとの更新も認められていたのですが、2021年2月半ばから、1年更新のみになったようです。詳しくは、こちらのページの「2021年3月1日追記」という項目をご参照下さい。

比較的安価で条件も厳しくありませんが、長期で現地滞在する必要があるので、忙しい方には向かないかもしれません。

なお、フィリピンに移住するには他の方法もあり、以下の記事で比較していますので、合わせて参照して下さい。

申請手続き

流れ

以下、業者を使う場合の典型的な流れです。

  1. 日本で必要な書類を集める(英訳も含む)
  2. 業者に依頼する
  3. フィリピン退職庁(PRA)に預託金を送金(※1)
  4. 現地に渡航
  5. 健康診断等
  6. 現地で申請
  7. 現地で SRRV ビザ受け取り

※1: フィリピン現地で個人の口座を作り、そちらの口座に送金するという方法もあります

6番の申請から7番の受け取りまで、通常は1ヶ月程度はかかるようですが、いくつかの業者では以下のように短い期間で済むプランを提供していました。現地の当局とコネがあるのかもしれません(※2)。

15日特急ハイクラスプラン – フィリピン長期居住権リタイアメントビザ取得ならリモンズ株式会社/Limonz.inc

※2: あるいは袖の下とか・・・

業者を通さずに申請することも可能で、その場合は、手続きの最初で退職庁に行く必要があるようです。つまり、フィリピンには合計2回行く必要がありそうです。

個人での申請に関してもネットに体験談が多く上げられています。例えば以下のようなページです。自力で申請する方は、参考にしてみて下さい。

SRRVの申請準備①マニラのPRAを訪問▶銀行口座開設|自力でSRRV

必要書類

  • 日本で用意するもの
    • パスポート
    • 無犯罪証明書(原本)
    • 家族も申請する場合は、戸籍謄本
    • 預託金の振り込み証明書・明細
  • その他
    • 証明写真
    • 申請書類

他のリタイアメントビザなどと同様かと思います。

必要な金額

申請自体にかかる費用としては以下の通りです。

  • 預託金
    • スマイル: 20,000ドル (約220万円)
    • クラシック、35才以上50才未満: 50,000ドル (約550万円)
    • クラシック、50才以上、非年金受給者: 20,000ドル (約220万円)
    • クラシック、50才以上、年金受給者: 10,000ドル (約110万円)
    • 家族が3名以上の場合、3人目以降は1名につき15,000ドル追加(約165万円)
  • 申請費用
    • 本人: 1400ドル(約15万円)
    • 家族: 300ドル(約3万3千円)
  • 年会費
    • 本人と家族2人まで: 360ドル(約3万9千円)
    • 家族3人目以降: 1名につき100ドル(約1万1千円)追加

預託金を除くと、家族4人(配偶者、子供2人)の場合、約30万円です。

次に申請手続きのために必要な費用ですが、以下の通りです。

  • 業者への費用(任意): 10万円前後
  • 書類取得関連費用(戸籍謄本、写真、役所に行くための交通費など): 若干
  • 飛行機: 往復で4万円〜10万円程度
  • 現地での滞在費: 1500円〜5000円 x 滞在日数
    • 比較的長期になるので、安めで、かつそれなりに安全なホテルに泊まると良いと思います

ここもざっくり30万円を見ておけば良いかと思います。

出来ること・出来ないこと

家族2名まで同じ金額で追加可能

上の費用のところにも書いた通り、同じ金額で家族2名まで追加可能です。3名以上の場合は追加で費用が発生します。

供託金が追加で必要となるのが一番大きいかと思います。

就労は可能だが AEP の取得が必要

SRRV は、それ単体では就労が許可されておらず、就労するためには AEP (Alien Employment Permit) の取得が必要です。

子供の就学は可能

フィリピンで学校に通うためには、基本的には SSP (Special Study Permit) の取得が必要ですが、SRRV の場合は SSP の取得が免除されています。

就学児童がいる家族が移住する場合には、SRRV は良い選択肢だと思います。

投資・節税も可能

銀行口座

SRRV の取得自体には銀行口座の開設は不要のようですが(※)、開設しないと生活に困るので、開設しておくべきでしょう。

※: 各種代行業者の説明でも、銀行口座の開設する場合としない場合の両方がありました

証券口座

また、証券口座の開設も可能です。日本居住者でも、フィリピンの銀行口座がなくても開設できる証券会社も一部あるようですが、かなり選択肢が限られます。一方、フィリピンの銀行口座があれば、選択肢が広がります。

預託金の投資

SRRV クラシックの場合、預託金は投資に回すことが出来ます。ただ、コンドミニアムの場合は居住可能な物件に限るなど、制限もいくつかありますので、自由に投資できるというわけではありません。

スマイルとクラシックのどちらにすべきか

スマイルとクラシックでは以下の違いがあります。(※)

  • 預託金の額
  • 預託金の投資への転用の可否
    • スマイルの場合は銀行に寝かせておくだけ

※: 対象年齢はどちらも35才以上ですが、前述の通り、クラシックの場合は50才未満と50才以上で預託金の金額が異なります。

従って、以下のように判断すれば良いと思います。

  1. 50才未満か → 「はい」なら SRRV スマイル、「いいえ」ならQ2へ
  2. 預託金を5万ドル用意できるか → 「いいえ」なら SRRV スマイル、「はい」ならQ3へ
  3. コンドミニアムなどに投資したいか → 「はい」なら SRRV クラシック、「いいえ」なら SRRV スマイル

上の方の「投資・節税も可能」にも書いた通り、SRRV クラシックでは、預託金の投資転換が可能ですが、投資対象に制限があります。

コンドミニアムを購入する事が決まっている、といった場合を除けば、SRRV スマイルの方が良いかなと言うのが個人的な意見です。

SRRV に向いている人・いない人

忙しい人 → ASRV

SRRV の取得のためには、通常はフィリピン国内に1ヶ月程度滞在することが必要です。そこまで時間が取れない人には、フィリピン滞在が5日で済む ASRV が選択肢になります。

なお、前述の通り、いくつかの業者では、特急対応で1ヶ月より短時間の滞在で済むプランもあるようなので、「1ヶ月は無理だけど2週間程度なら何とか」という人は、SRRV も選択肢になります。

現地で就労・起業したい → クォータビザも選択肢

SRRV でも AEP を取得すれば就労可能ですが、必ず取得出来るとは限りません。

一方、クォータビザであれば、就労にあたり AEP の取得は不要です。

お金を節約したい → SRRV

ASRV、クォータビザは、SRRV に比べて費用面で不利です。そもそも高額ですし、人数に応じてかかる追加費用がそれなりの金額です。また、ASRV では、支払うお金は「預託金」ではなく「プログラム参加料」ですので、返金はされません。

SRRV であれば、本人含めて3人までは同じくらいの金額で取得出来ますし、SRRV をキャンセルした場合には預託金が返還されますので、金額的な負担はそこまで多くありません。

また、他国のリタイアメントビザと比較しても、金額が安いことが分かるかと思います。本サイトのリタイアメントビザに関する記事は、以下にまとまっています。

リタイアメントビザ アーカイブ – 非富裕層向け海外移住情報

まとめ

フィリピンの SRRV は、35才以上の人が比較的低価格の預託金を預ける事で申請できる、リタイアメントビザです。

フィリピン(特にセブ)は、老後の移住先として、あるいは安価な英語留学先としても人気が高まっています。そのフィリピンに比較的安価に移住が出来る SRRV は、魅力的な制度だと思います。

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