D7 ビザは、年金などの収入がある人がポルトガルに4ヶ月滞在可能なビザです。その後、現地で1年間有効(その後は2年ごとに更新)滞在許可証を取得出来ます。
D7 ビザ(4ヶ月間有効) → 滞在許可証(1年間有効)
という流れであり、D7 ビザと滞在許可証は別物なのですが、本投稿ではまとめて説明します。
D7 ビザ概要
D7 ビザは以下の特徴があります。リタイアメントビザの1つと分類して良いと思います。
- 年齢制限無し
- 年に6ヶ月の滞在義務
- 4ヶ月間有効
- 現地で1年間有効(その後2年ごとに更新)な滞在許可証(residence permit)が取得可能
- 5年後に、5年間有効な「永住権」を申請可能
- 家族も滞在可能
- 銀行口座開設可能
- 証券口座も開設可能
- 就学可能
- 就労(現地の企業に雇用される)は不可
- 現地の健康保険制度を使用可能
最初にも書いた通り
D7 ビザ(4ヶ月間有効) → 滞在許可証(1年間有効)
という流れですが、業者などによっては
- 「D7 ビザ」を「D7一時ビザ (temporary D7 visa)」
- 「滞在許可証」を「D7ビザ (D7 visa, permanent D7 visa)」
と言っている場合もあるので注意が必要です。
申請手続き
(注意点)この項には、最新では無い、あるいは不正確な情報が含まれている可能性があります。移住を検討する際には、大使館や専門家への相談をお勧めします。
流れ
以下、典型的な流れです。
- 事前手続き
- NIF (納税者番号)の取得
- 銀行口座開設
- 日本で D7 ビザ(4ヶ月間有効)の取得
- 現地へ渡航
- 住む場所の確定(賃貸物件の契約、など)
- SEF (Serviço de Estrangeiros e Fronteiras = Portuguese Immigration and Borders Service) へ申請の予約
- SEF にて滞在許可証(1年間有効)の申請
- 滞在許可証の取得
D7 ビザの有効期間は4ヶ月なので、3〜7まで4ヶ月で終える必要があります。
必要書類
- D7 ビザ
- 申請書等
- パスポート
- 写真1枚
- 無犯罪証明書(アポスティーユが必要)
- ポルトガル国内における滞在状況(住居や滞在場所など)を証明する書類
- 医療保険などの証明書類
- 収入の証明
- 滞在許可証
- SEF での予約
- パスポート
- 銀行の明細
- 収入証明
- 医療保険などの証明書類
- NIF
- 賃貸契約書等、住所を証明する書類
参考: ポルトガル大使館 → リンク切れ
参考: Residency – Necessary Documentation – National Visas – Visa
必要な金額
D7 ビザの場合、フィリピンの SRRV などのように預託金などは必要無いので、手続き自体にかかるお金は大したことはありません。
必要な費用は、大雑把に以下の通りです。
- 申請自体にかかる費用、必要書類の取得費用: 2〜3万円
- 申請に関連する費用
- 業者(エージェント)に支払う費用: 1000ユーロ(約13万円)前後〜
- 渡航費用: 約10万円 x 2回
- 現地での健康保険: 1000ユーロ(約13万円)前後/年
- 現地物件の前家賃、保証金: 1000ユーロ(約13万円)〜 x 4〜6ヶ月分
- その他
- 引っ越し費用: 50〜100万円
150〜200万円程度は用意しておけばとりあえずは大丈夫だと思います。
必要な収入
D7 ビザの要件の1つとして、定期的な収入があること、というのがあります。年金・不動産収入・リモートワークでの収入(ポルトガル国外の企業との取引)、などが典型的なものでしょう。
どれ位の収入が必要かですが、ポルトガルの最低賃金が基準になります。
- 本人: 最低賃金と同額
- 18才以上の家族: 1人につき、最低賃金の半額が追加
- 18才未満の家族: 1人につき、最低賃金の30%が追加
例えば、本人・妻・18才未満の子供が2名という家族構成の場合、
必要となる収入 = ポルトガルの最低賃金 x (100% x 1 + 50% x 1 + 30% x 2)
となります。現在のポルトガルの最低賃金は665ユーロ/月ですので、必要となる収入としては 665 x (1×1 + 0.5×1 + 0.3 x 2) = 665 x 2.1 = 1396.5ユーロ/月 となります。
出来ること・出来ないこと
家族の滞在許可証も取得可能
家族がいる場合は、以下のような流れになるようです。
- 本人が日本で D7 ビザを取得
- 現地に渡航
- 現地で本人の滞在許可証を取得
- 現地で家族のビザ・滞在許可証を取得
就学は可能
D7 ビザ、及び滞在許可証で、ポルトガル国内の学校に通う事が出来るようです。
子供を現地の学校に通わせると共に、親はポルトガル語の学校に通う、というのも可能です。
就労は不可
D7 ビザは、そもそもポルトガルで働かなくても生活できる収入がある人向けのビザなので、ポルトガル国内の企業で就労するなどは出来ません。
投資は可能
D7 ビザ取得にあたり銀行口座を開設しますし、他の国と同様に銀行口座があれば証券口座も作成可能です。
また、ポルトガルでは外資による不動産購入も可能です。
ちなみに、ポルトガルに一定金額以上投資した人が申請できる、通称「ゴールデンビザ」というものがあります。最低投資金額が50万ユーロ(約6700万円)と、投資ビザにしては比較的安価だったので、ポルトガルの不動産を購入してゴールデンビザを取得する人が割と多かったのですが、こちらは制度が大きく変わるようです。
5年後に「永住権」の申請が可能
D7 ビザの後に取得出来る滞在許可証は1年間有効ですが、その後は2年ごとの更新となります。2年更新を2回行った後、つまり最初の滞在許可証を受け取ってから5年後には、5年間有効な「永住権」の申請が出来ます。
ヘルスケアも使用可能
他国のリタイアメントビザなどと異なり、D7 ビザの場合、ポルトガルのヘルスケア(健康保険)が使用可能なのはメリットだと思います。
税制の優遇を受けられる
D7 ビザで滞在する場合、税制上の優遇を受けられる NHR (non-habitual resident) の申請が出来ます。
- 国外の収入に関する税金: 非課税
- 国内の収入にかかる所得税も優遇税率(20%)を受けられる場合がある
NHR に関しては、日本語では以下のページが詳しかったです。
英語でも良ければ、情報はもっと多くありますので、検索してみてください。
なお、税金関係は、税理士へ相談する事をお勧めします。
まとめ
ポルトガルの D7 ビザは、海外から安定的な収入がある人(年金受給者、不労所得がある人、フリーランスなど)であれば、比較的安価に取得出来ます。
半年間の滞在義務がありますが、5年後には永住権の申請が可能ですので、ポルトガルへの移住を考えている人にとっては最適なビザです。
はじめまして。
リタイアメントビザに関して質問です。
上記ビザは日本でD7ビザを取得し、ポルトガルで滞在許可証を取得する必要があると思うのですが、
日本でのD7ビザ取得では、下記を提出し、大使館へ行き、
申請書
パスポート
写真1枚
無犯罪証明書(アポスティーユ)
ポルトガル国内における滞在状況を証明する書類
医療保険などの証明書類
収入の証明
ポルトガルでの滞在許可証取得には、下記を提出すれば、良いのでしょうか。
SEF での予約
パスポート
銀行の明細
収入証明
医療保険などの証明書類
NIF
賃貸契約書等、住所を証明する書類
長々と申し訳ございませんが、ご回答頂ければ幸いでございます。
コメントありがとうございます。
基本的にはその流れで良いと思いますが、詳しくは在日ポルトガル大使館に問い合わせるのが確実だと思います。もし、問い合わせた結果、本サイトに記載の情報と異なっているようでしたら、ご連絡頂ければ記事を修正いたします。
(ちなみに、本文中にリンクを記載したポルトガル大使館のページですが、現在、サイト全体がエラーで上手く表示されていませんね。)
お返事ありがとうございます。
ホームページを見ることができず困っており、ご質問できればと思いコメントした次第でございます。
一度大使館に直接問い合わせることにいたします。
ありがとうございました。
源さん
こんにちは
私もD7ビザの取得を目指しておりまして、もしよろしければ情報交換いたしませんか?
よろしくお願いいたします。