カンボジアにはリタイアメントビザのような仕組みはありませんが、法人を設立して就労ビザで移住するのはそこまで難しくありませんので、記事としてまとめてみました。
概要
カンボジアで法人を設立し就労ビザで移住する方法の概要をまとめました。
- 法人設立は比較的簡単
- 外資規制業種は少なく、大半の業種で外資100%が可能
- 最低資本金は400万リエル(約11万円)
- 取締役は1名から、海外居住でも問題無い
- 労働許可証の有効期限は1年間(更新可能)
- 法人は、現地人の雇用義務は無い(社員0人で良い)
- 社員を雇用する場合には、原則として外国人は10%以内
大まかな流れ
カンボジア法人設立
カンボジアに法人を設立する方法としては、以下のジェトロのページからダウンロード出来る資料を読むと良いと思います。
カンボジア会社設立マニュアル(2021年2月改訂版) | 調査レポート – 国・地域別に見る – ジェトロ
具体的な手順としては以下の通りです。
- オンラインでアカウント登録
- オンラインで商号予約
- 必要書類の準備
- 物件の賃貸借契約書がこの段階で必要
- オンラインでの申請、書類アップロード
- 手続き費用の支払い
- 審査、登録完了
- オンラインで銀行口座証明書の提出
- 現地の各省庁での手続き
4番の申請から6番の登録完了までは15営業日程度です。
8番以外はオンラインで行えますが、
- 4番の申請には、物件の賃貸借契約書も必要
- 7番の銀行口座証明書のため、事前に銀行口座を開設しておく必要がある
という理由により、最初から現地に渡航しておくというのも良いと思います。
物件は、日本での法人設立と同様、バーチャルオフィスでも可能なようです。
銀行口座に関しては、取締役の個人口座を事前に開設しそこに必要な金額を入金する方法が一般的ですが、銀行によっては法人設立前から仮口座を開設することも可能のようです。
どんな方法を取るにしても、業者に頼んだ方が良さそうです。
カンボジアでの就労
カンボジアでの就労ビザの仕組みは若干複雑です。就労ビザで長期滞在するには、以下の流れとなります。
- 1ヶ月まで滞在可能なビジネスビザを、日本国内で取得
- カンボジアに渡航
- 居住許可の取得
- ビジネスビザの延長(最長1年間)
- 労働許可証と雇用カードの取得(最長1年間)
3〜5は、通常は業者に頼みます。
これ以降、1年ごとに更新していく流れとなります。
詳細説明・補足
必要な書類
会社設立
- 登録住所地の土地登記または賃貸借契約書
- 取締役の証明写真
- パスポート
- 定款
- 取締役および登録株主代表者の就任承諾書
- 設立手続についての委任状
- 銀行口座証明書(税務登録後15営業日以内に提出)
ビジネスビザ
- 日本のカンボジア大使館での新規取得
- パスポート
- 写真
- カンボジア国内での延長
- パスポート
- パテント(事業税の支払い証明書)
- 外国人居住登録システムの画面のスクリーンショット
- ビザ申請用紙
- 写真
必要な金額
会社設立
- 商業省
- 商号予約費用:約6.25米ドル
- 商業登録費用:約252.5米ドル
- 租税総局
- 税務登録費用:小規模納税者5米ドル
- パテント税登録費用(1項目・1事業年度当たり):小規模納税者:約50米ドル
- 労働職業訓練省
- 事業所開設申告:30米ドル
- 資本金: 400万リエル(約11万円)以上
ビジネスビザ
- 日本のカンボジア大使館での新規取得: 4400円
- 各名誉領事館で取得する場合は 4900円
- カンボジア国内での延長: 業者で300ドル前後
労働許可証
- 52万リエル(約1万4千円)/年
- 業者に依頼するなら300米ドル前後
ビジネスビザ、労働許可証、居住許可
カンボジアで就労するには、以下の4つのものが必要です。
- ビジネスビザ
- 居住許可
- 労働許可証
- 雇用カード
労働許可証と雇用カードはまとめて取得するので、実質的には3種類ものが必要です。
ビジネスビザは、現地で就労する場合だけで無く、現地との取引先との打ち合わせなどでの渡航でも必要となる、一般的な商用ビザです。多くの国では就労ビザと短期の商用ビザは分かれていますが、カンボジアの場合は「ビジネスビザ」の1種類だけしかありません(期間の違いで何種類かに分かれますが)。
居住許可は、ビザの種類に関係無く、カンボジア国内で居住する際に必要となるものです。
従業員割当申請(Quota)
企業はカンボジア人労働者の10%以下の人数の外国人を雇用できるが、10%を超える場合は、労働省への従業員割当申請の際に特例許可手続きをとる必要がある。
外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | カンボジア – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ
ということだそうです。
ただ、これは「労働者」=「従業員」の話ですので、取締役の場合には適用されません。
ビジネスビザと労働許可証
前述の通り、カンボジアで働く場合にはビジネスビザと労働許可証(+α)が必要ですが、その2つはあまり連動していないため、以前はビジネスビザで入国した後、労働許可証を取得しなくてもあまり問題とはなっていませんでした。実際、私の知り合いでカンボジアで会社をやっている人がそのような形で働いていました。
ただ、現在ではビジネスビザの延長時に以下が必要となりましたので注意して下さい。
- 在職証明書
- 外国人居住登録システムへの登録
まとめ
カンボジアは中国との結びつきが強いですが、意外に親日でもあります。また、外資による法人設立の障壁も低いため、移住の難易度は比較的低いと言えます。
国としては成長著しく、物価も安いため、移住先としては案外穴場かもしれません。
参考となるページ
法人設立関連
法人設立に関しての概要を把握するには、やはりジェトロのページが欠かせません。
- カンボジア会社設立マニュアル(2021年2月改訂版) | 調査レポート – 国・地域別に見る – ジェトロ
- 外国企業の会社設立手続き・必要書類 | カンボジア – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ
具体的な手続き等は、業者のページなどを見るのが良いと思います。
以下の業者さんは、バーチャルオフィス、法人設立サポートを行っています。カンボジアですぐに人を雇用する予定でしたら普通のオフィスが良いと思いますが、自分一人の就労ビザを出すだけであれば、バーチャルオフィスでも良いと思います。
ビザ関連
ビザに関しての情報は、まずはジェトロのページを見るのが正確で良いと思います。
業務でカンボジアに長期滞在する外国人は、ビジネスビザ(シングル)で入国し、入国後に入国管理事務所で延長を行うことが必要である。延長期間は、3カ月(シングル)、6カ月(数次)、1年間(数次)である。
外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | カンボジア – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ
ビザ申請に関しては、カンボジア大使館のページを参照して下さい。
ビザ申請 VISA | 在日本カンボジア王国大使館 Royal Embassy of Cambodia in Japan
以下の業者のページは、ビザ延長の手続きについてまとまっています。
以下のページは、全体の流れがわかりやすくまとまっていました。