今までフィリピン、マレーシアなどのリタイアメントビザを紹介してきましたが、東南アジアの大国の一つであるインドネシアはどうなのでしょうか。
結論を先に書いてしまうと、インドネシアにもリタイアメントビザはあるのですが、有効期間1年間という、若干使いにくい制度です。ただし、1年延長を4回行った後の5年後には5年更新の「永住権」に切り替えられます。
リタイアメントビザ概要
制度概要
- 55才以上の人が対象
- 1年ごとに更新が必要
- 5年後(4回更新した後)に、5年更新の永住権(KITAP)への切り替えが可能
- インドネシア政府より認可を受けたエージェントが身元引受人になる
- 業者経由での申し込みが必須
- 就労は不可
- 国外に一度出る場合は、再入国許可書が必要
所謂リタイアメントビザというよりは、他国で言う「長期滞在ビザ」という感じでしょうか。
更新の頻度が1年ごとなのは面倒ではありますが、制度が無くならない限りはインドネシアに住み続けることが出来ます。
対象・条件
- 55才以上
- $1,500(約17万円)/月以上の年金受給等
- 使用人(メイド等)を1名以上雇用すること
- インドネシア政府より認可を受けたエージェントが身元引受人になること
- 日本の業者経由で申し込むのが一般的
- 生命・健康保険への加入
- 住居に関して、以下のどちらかが必要
- $35,000(約386万円)以上の物件の購入(※)
- 物件の賃貸契約
- ジャカルタ、バリ、バンドン: $500(約55,000円)/月以上
- ジャワ、バタム、メダン: $300(約33,000円)/月以上
- それ以外の地域: $200(約22,000円)/月以上
収入等の金銭的な要件は低いので、インドネシアが気に入って長期在住したい方にとっては良い制度だと思います。
なお、インドネシアの行政手続きは(東南アジアでは良くありますが)適当だったり担当者によって話が変わったりということもあるようです。ただ、本ビザの場合は業者経由で申し込むことになるので、信頼できる業者に頼んでおけば基本的には問題無いはずです。
インドネシア政府のページではありませんが、在ウクライナ・インドネシア大使館のサイトに細かい条件が記載されていましたので、詳しくはそちらを参照するか、在日インドネシア大使館に問い合わせるのが確実かもしれません。
Embassy of the Republic of Indonesia, in Kyiv,, Ukraine
※: 外国人の場合、購入出来る不動産に制限があるため、最低金額の$35,000で購入出来る物件はほとんど無いと思います。
申請方法
必要書類
- 申請書類
- 写真(4cm×6cm=10枚、3cm×4cm=4枚、2cm×3cm=4枚)
- パスポート原本及びパスポートのコピー
- 賃貸契約書または不動産の購入証明書
- $1,500/月の支払い能力を証明する年金証書、あるいは銀行の残高証明書
- 英文履歴書
- 健康保険・生命保険・損害保険加入の証明書
- インドネシア人1名以上の雇用契約書
- 業者が代行してくれます
業者によって細かい違いはあるかもしれませんが、必要な書類は以上のものです。上の方に書いた通り、インドネシアのリタイアメントビザは、業者経由での申請が必須ですので、詳細は業者にお問い合わせ下さい。
申請の流れ
- 書類を集める
- 業者経由で申請
- ビザ発給
- 以前は、在日インドネシア大使館でのビザ申請手続きが必要だったのですが、現在の e-Visa の制度では不要です
- インドネシア渡航
- 7日以内に現地でエージェント(身元引受人)に連絡し、所定の手続きを行う
- 暫時滞在許可書(ITAS)の申請
- ITAS 発行後、警察(STM と SKLD)への届け出
前述の通り、本ビザは業者経由での申し込みが必須です。
業者のページを色々見てみましたが、以下の2つが割と分かりやすかったです。この2つ以外にも業者は沢山ありますので、時間のある方は比較検討してみて下さい。
必要な金額
大雑把に必要な金額を記載しておきます。
- 業者の申請代行費用: 10万円〜30万円
- 現地での保険: 1〜3万円
- 現地渡航費用: 10万円前後
その他
コロナ関連の情報
インドネシアも他国と同様、コロナ禍での現在、ビザ発給・入国の手続きが普段とは異なる状況です。詳しくは、大使館のページを参照して下さい。
在本邦インドネシア共和国大使館, in Tokyo, Japan
リタイアメントビザ以外の選択肢
インドネシアに移住する方法として、他の選択肢は無いのでしょうか。
他国と同様、法人を設立して、取締役として現地で就労するというのは選択肢として考えられます。ただし、インドネシアの場合、外資法人の資本金の要件が高いため、他国での法人設立に比べると初期投資費用が大きくなってしまいます。
従って、本記事で紹介したリタイアメントビザ取得→4回更新→永住権(KITAP)取得→以降5年ごとに更新、というのが一番簡単だと思います。
インドネシアでの法人設立に関しては、ジェトロの以下のページをご参照下さい。
- 外国企業の会社設立手続き・必要書類 | インドネシア – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ
- 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | インドネシア – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ
まとめ
インドネシアのリタイアメントビザは55才以上が対象で、他の東南アジア諸国に比べても必要な金額は少なめです。その一方、最初の5年間は毎年更新手続きが必要なため、若干面倒です。
また、インドネシア国外に出るためには再入国許可が必要なため、インドネシアにどっぷり腰を落ち着けたい人以外はちょっと使いにくい制度とも言えます。
今回はほとんど触れませんでしたが、国としてはバリ島という世界有数のリゾート地もありますし、経済も比較的堅調に成長しており、魅力的な国と言えます。まずは一度訪れてみて気に入った人であれば、(55才以降という制限はありますが)本リタイアメントビザは選択肢の1つとして検討すべきでしょう。