フィリピンに移住したい方は、比較的手頃な金額で取得可能な SRRV があり、大半の場合は SRRV を取得するのが最適解です。
また、SRRV 以外の選択肢として、ASRV、クォータビザもあり、SRRV も含めた比較記事を以前書きました。
今回は、それ以外の選択肢として、フィリピン企業を設立してビザを取得する方法を説明します。
フィリピン企業が、社員や役員のために申請可能なビザは主に以下のものがあります。
- 9gビザ(普通の就労ビザ)
- 9dビザ(Treaty Trader or Treaty Investor Visa)
- PEZAビザ
今回は、そのうち Treaty Trader’s or Treaty Investor’s Visa(条約事業者、あるいは条約投資家ビザ)を紹介します。CA No. 613 の Section 9(d) に基づくビザのため、一般的には「9dビザ」と呼ばれます。
先に結論を書くと、本ブログの対象読者の方には、9dビザよりは SRRV などをお勧めします。
概要
9dビザについて
- ビザ取得の条件
- ビザ申請者は日本、アメリカ、ドイツ国籍のいずれか
- フィリピン企業が以下のどちらかを満たす
- Treaty Trader: その企業と日本との間でそれなりの額の取引をしている
- Treaty Investor: ビザ申請者がその企業に一定額以上の投資をした(している途中)
- 公式ページには明示されていないが、12万ドル(約1,320万円)との情報
- そのフィリピン企業の取締役、マネージャーなどの役職に就いている
- 通常の就労ビザ(9gビザ)と手続きなどは似ている
- 有効期限は1年か2年、延長可能
- 配偶者、21才未満の未婚の子供も取得可能
ビザの詳細は、以下のページを参照して下さい。
移住までの流れ
- フィリピン法人設立(ここでは詳細は記載しません)
- フィリピンにビザ無しで渡航
- 外国人雇用許可証(AEP: Alien Employment Permit)取得
- 9dビザ取得
- 外国人登録証(ACR-I card :Alien Certificate of Registration Identity Card)取得
ビザ取得方法
必要書類
基本的には以下のような書類が必要となります。詳しくは移民局の公式ページや代行業者に確認して下さい。
- 申請書類
- 会社関連の書類
- 証券取引委員会(SEC: Securities and Exchange Commission)の登録証明書
- 定款
- SECの印が入った今年の General Information Sheet(登記簿のようなもの)
- 雇用契約書、役員選任議決書等、期間・報酬額・職務が分かる書類
- 納税申告書、及び税金支払いを証明する書類
- パスポート
- パスポートサイズの写真
ビザ取得の流れ
初めに書いておきますと、フィリピン(に限りませんが)でのビザ取得は色々と面倒なので、業者を通すことを強くお勧めします。
- 必要な書類の取得
- 書類の提出
- 手数料の支払い
- 手数料支払いのレシートを提出
- 面談
- 審査、承認
- パスポートを提出し、ビザのスタンプを押してもらう
この後は、ACR-I カード取得に進みます。
他の方法と比べて
SRRV、ASRV
SRRV、ASRV は、基本的にはお金さえあれば取得出来ますし、取得も難しくありません。AEP を取得すれば就労可能ですので、SRRV、ASRV が取得可能な人であればそちらの方が手続きなどで楽ですしお勧めです。
また、SRRV は、ACR-I カードの取得が不要ですので、移住後の手続きは他のビザ・ステータスに比べると少ないです。SRRV 自体の取得に時間がかかるのが難点ですが。
9gビザ
通常の就労ビザである9gビザと今回紹介した9dビザは、取得・更新手続きなどは比較的似ています。
9gビザの場合、ビザ申請者の業務内容がフィリピン人では満たせない事を証明する必要があります。一方、9dビザの場合、そうした条件は無さそうです。
ただ、今回のように、法人を設立して自分自身のために9gビザを申請する場合、法人の取締役という代替不可能な立場のためその条件は満たしており、ビザ取得は困難ではありません。
まとめ
フィリピンの9dビザは、「Treaty Trader」または「Treaty Investor」が申請可能な就労ビザで、実務的には日本と取引を行うフィリピン企業の役員・社員、あるいはフィリピン企業に一定額以上を投資しているが取得出来るビザです。
今回の記事を書くにあたって改めて9dビザについて調べてみたのですが、本ブログの対象読者である、自分自身で移住を行う人(日本の企業に派遣される等ではない人)にとっては、9dビザはあまり使いどころの無さそうです。
フィリピン国内での就労が不要であれば、SRRV か ASRV で良いですし、就労が必要な場合でも SRRV、ASRV の取得後に AEP を追加で取得すれば事足ります。