マレーシアのデジタルノマドビザは10/1から受付開始(2022年10月1日更新)

相変わらず本業が忙しく久しぶりの投稿ですが、今回はかなりポジティブな投稿です。

マレーシアがデジタルノマドビザを導入し、来る2022年10月1日(1週間弱ですね)から受付を開始します。MM2H の条件の厳格化などマレーシア関連ではあまり良いニュースが無かったのですが、久しぶりに良いニュースです。

追記: 2022年10月1日に新たに情報が出てきましたので、大幅に加筆・更新しました。

マレーシアのデジタルノマドビザ概要

マレーシアのデジタルノマドビザですが、正式名称は DE Rantau Nomad Pass です。以下、概要です。

  • 1年間有効
    • 1回だけ更新可能(合計で、最長24ヶ月まで滞在可能)
  • 24,000ドル/年(約340万円)以上の収入が必要
  • リモートワークの会社員またはフリーランスが対象
    • IT、デジタルマーケティング、デジタルコンテンツのデザイナー・開発、の職種が対象
    • 3ヶ月以上の契約があること
  • 家族の同行も可能
  • 費用
    • 手数料: 1,060リンギット(2022年10月1日現在、約33,000円)
      • 同行家族1人追加につき、530リンギット(2022年10月1日現在、約17,000円)
    • MDEC がスポンサーとなるために1,000リンギット(約33,000円)の security bond を支払う必要がある(詳細は後述)
  • 銀行口座開設はできない銀行が多いはずだが、各銀行に問い合わせて欲しい、との事(FAQ より)
  • 子供が学校に通えるかは、学校による

以下の情報を元に記載しました。

取得手続き

流れ

現在私自身、手続きを進めているところです(現在手順2の段階です)。

  1. Malaysia Digital のサイトにユーザー登録
  2. 必要な書類を集める
  3. オンラインで申請書類を提出、費用の支払い(※1)
  4. 4週間以内に結果が来る(恐らくメールで)
  5. マレーシアの Expats Service Centre にパスポートを提出し費用を支払う(※2)
  6. 1週間以内にビザ(Pass)がが発行される

※1: まだここまで進めていませんが、クレジットカードで支払えると良いのですが

※2: EMS などで送付すれば良いのか、それとも実際にマレーシアに行かなければいけないのかは、現時点では不明です。また、マレーシアに行く必要があった場合に、ビザ無し渡航で良いのか、それとも Single Entry Visa を取得しなければいけないのかも、今後分かり次第追記します。

必要書類

全ての書類は英語である必要があります。

  • パスポート全ページ
  • パスポートサイズの写真
  • 職務経歴書
  • 過去3ヶ月の銀行口座の明細
  • 年収の証明(課税証明書や確定申告書で良いはず)
  • 無犯罪証明書(Letter of good conduct)
  • 仕事の証明
    • フリーランス、自営業者の場合
      • 申請時点で有効な業務委託契約書
      • 契約期間は3ヶ月以上
        • 複数の契約書でもOK。例えば、10〜11月の契約、12月〜2月の契約という2つの契約に分かれていたとしても、合計で3ヶ月以上あれば良い。
      • 発注元はマレーシア企業、外国企業、どちらでも可能
    • 会社員の場合
      • 申請時点で有効な雇用契約書
      • 契約期間は3ヶ月以上
      • 雇用主はマレーシア企業、外国企業、どちらでも可能
    • いずれの場合も、金額が24,000ドル/年以上の必要があります
  • 保険(旅行保険等)の証明
  • Personal Bond Form (1,000リンギットの security bond に関するもの。詳細は後述)

公印確認・領事認証については記載されていなかったので、不要と思われます。

Personal Bond Form / Security Bond に関して

本ビザの申請には「スポンサー」が必要なようで、スポンサーとなれるのはマレーシア国内の組織(organization)です。これだけ読むと、マレーシア国内の企業とかで良さそうな気もしますが、提出書類の Personal Bond Form の説明として以下の記述がありました。これを読む限り、マレーシア国内の銀行がスポンサーとなる必要があるようです。

The Security Bond/Bank Guarantee (BG) is a written undertaking issued by the bank at your request in favour of a third party (the beneficiary), guaranteeing payment in case of default or non-performance of a certain requirement. The security Bond/Bank Guarantee (BG) must be issued by bank in Malaysia.

となると、マレーシア国内の銀行に口座がある人、つまり既に有効なビザでマレーシアに滞在している人しかダメという事になってしまいますが、スポンサーがいない人は MDEC (Malaysia Digital Economy Corporation) に費用を払えばスポンサーとなってもらえるようです。その費用は、前述の通り1,000リンギット(2022年10月1日現在、約33,000円)です。

Personal Bond Form は、何かあった場合に、その支払った費用から充当しますという宣誓のための書類です。所定のフォームに必要事項を記入して、印刷して署名し、それをアップロードすれば良いようです。

補足

他のビザからの切り替え、他のビザへの切り替え

他のビザからデジタルノマドビザへ切り替えるにはどうすれば良いのか、 FAQ のセクションB、質問番号17(就労ビザからの切り替え), 18(学生ビザからの切り替え)に記載があります。いずれの場合も、

  • マレーシア国内からデジタルノマドビザの申請が可能
  • 就労先あるいは学校から release letter 出してもらい、既存のビザの期限を短くする必要がある

と書かれています。

詳細は不明ですが、例えば就労ビザが2023年末まで残っていて、2022年11月1日にデジタルノマドビザを申請したい場合は、就労先から release letter を出してもらいビザの期限を短くしてもらって、デジタルノマドビザと期間がかぶらないようにする、という事だと思います。

他のビザへの切り替えについても似たような話かと思います。ただ、以前は MM2H 保持者がマレーシア or ラブアン法人を設立して就労ビザに切り替えるというのが出来ていたのですが、最近は出来なくなっているか難しくなっているようですので、デジタルノマドビザから他のビザへの切り替えにも注意が必要かもしれません。マレーシアの場合、担当者によっても言う事が変わったりするので運の要素もあるかもしれませんね。

就労ビザ取得に時間がかかるので、つなぎとして使えるかも

元々マレーシア法人の場合就労ビザの要件が厳しく、取得の手続きにも時間がかかっていました。それに比べるとラブアン法人の場合は就労ビザの要件は比較的緩く、かかる時間もマレーシア法人に比べると短く住んでいました。ラブアン法人については、以下の記事をご参照ください。

ただ、比較的最近ラブアン法人の就労ビザを取得した方の話では、ラブアン法人であっても就労ビザ取得が結構大変だったようで、その方の場合は半年以上かかっていました。

そういった話を聞いていて思いついたのですが、就労ビザでマレーシア移住を目指す人の場合、このデジタルノマドビザをまず取得してマレーシアに移住し(上述の通り最大2年間いられます)、その間に腰を据えて就労ビザを取得するという方法であれば、ストレスが少ないのでは無いかと言うことです。

これについては、前項の話と関連しますが、デジタルノマドビザから就労ビザへの切り替えが認められるかどうかは現時点では分かりませんし、担当者によっても判断が異なってくるかもしれません。

マレーシア企業の社員の場合?

上の方の「仕事の証明」のところで会社員の場合「雇用主はマレーシア企業、外国企業、どちらでも可能」と書きました。

「マレーシア企業に雇用されているのであれば普通に就労ビザが出ているのでは?」

と思った方もいるかもしれません。私もそう思いました。

マレーシア法人の外国人にビザを出すのは結構条件が厳しく、マレーシア人を何人か雇用し、資本金も売上もそれなりにないとビザが出ません。なので、その条件に満たない会社がとりあえずリモート勤務の外国人を採用し、当面はこのデジタルノマドビザでその外国人にマレーシアに滞在してもらう、という使い方もあるのかとちょっと思いましたが、それに関しても2つの疑問点があります。

  1. デジタルノマドビザでは、マレーシア国内の物理的なオフィスなどで勤務することはダメそう
  2. そもそも、マレーシア国外に住んでいる人がマレーシア企業に雇用されることは可能なのか

1ですが、デジタルノマドビザはリモートワーカー向けのビザなので、マレーシア国内にあるオフィスや店舗などで働くのは、制度の趣旨からしてもダメっぽいです。

2については日本に置き換えて考えてみると、日本の企業が海外に住んでいる人を(業務委託契約ではなく)社員として雇用するということなのですが、日本における業務委託契約と雇用契約の大きな違いとしては以下が挙げられます。

  • 指揮監督の有無(業務委託契約は仕事の進め方などは自由に選べる)
  • 社会保障の有無(雇用契約の場合、健康保険・厚生年金・労災保険などがある)

こうした違いを考慮して、わざわざ外国在住の人と雇用契約を結んでいる日本企業も少ないながらあるようですが、では、マレーシアの場合はどうでしょうか。

社会保障に関して言うと、マレーシアは以下の通りです。

  • 国民皆保険制度はない(自分で保険に加入する必要がある)
  • 年金に相当するものとして EPF というのがあるが、外国人は任意加入
  • 労災はあり(参考ページ

一般的に労災の有無は割と大きいと思いますが、今回のビザの対象としては IT 関連の職種なので、労災はあまりメリットとはなり得ません。そう考えると、マレーシア企業が外国人を業務委託契約ではなく社員として雇用するケースというのはほとんどないものと思われます。

従って、「雇用主はマレーシア企業、外国企業、どちらでも可能」とは言うものの、基本的にはマレーシア国外(例えば日本)の企業に雇用されている人が対象でしょう。

他の東南アジア諸国でもデジタルノマドビザが出来そう

元々以下の記事で「他国でも同様の制度が出来る可能性も」と書きましたが、その予想は見事的中しました(自画自賛ですみません)。

他の東南アジア諸国はどうでしょうか。シンガポールのような(物理的に)狭い国は恐らく導入しないと思いますが、フィリピン、タイ、ベトナム辺りは導入する可能性も大いにありそうです。

また、デジタルノマドビザではありませんが、最近カンボジアがマレーシアの MM2H と似た CM2H (Cambodia My 2nd Home) という制度を導入しました(これに関しては別途記事を書きます)。各国のデジタルノマド・移民獲得競争は厳しくなっており、新たな制度もちょくちょく出来てきているので、今後に要注目です。

まとめ

マレーシアでは、デジタル系のリモートワーカー職種を対象としたデジタルノマドビザを導入し、2022/10/1からの申請受付を発表しました。(私の知る限り)東南アジアではインドネシアに次ぐもので、今後、他の東南アジア諸国も追従してデジタルノマドビザの発表をすることが予想されます。

マレーシア移住に関しては MM2H の条件厳格化などあまり良いニュースが無かったのですが、今回の制度についてはマレーシアに住みたいけどそこまで長期で住む予定は無い人・予算にあまり余裕が無い人にとっては使いやすい制度と言えます。新たな情報が入り次第随時記事を更新する予定です。

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「マレーシアのデジタルノマドビザは10/1から受付開始(2022年10月1日更新)」への2件のフィードバック

  1. 有益な情報ありがとうございます!
    マレーシアのデジタルノマドビザで証券口座を作ることが可能か伺いたいです。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    返信
    • コメントに気づかずに返信が遅くなり申し訳ございません。

      デジタルノマドビザでは銀行口座、証券口座は作れないようです。デジタルノマドビザの場合、当然ですがマレーシア国外から収入があることが前提で、マレーシア企業から業務を受けたり就労したりすることは出来ないため、銀行口座は不要=作成の許可は下りない、という形です。

      デジタルノマドビザは就労ビザでは無く、(期間は最長2年と長いですが)出来る事は短期滞在ビザとほぼ同様です。

      返信

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