インドネシアセカンドホームビザを本日スタート

近年、海外の富裕層の移住を促すため、ASEAN 諸国で長期在住ビザ、いわゆるセカンドホームビザを導入する動きが加速化しています。すでにマレーシア、タイ、カンボジアで導入済となっており、インドネシアでも2021年初めから検討されていましたが2022年10月25日にインドネシア移民総局よりセカンドホームビザに関する公式発表がされました。公式発表によれば発表の60日後の2022年12月24日(本日)に発効しその後、申請を開始します。

以下のサイトに情報がまとまっていますので、これらを参照しつつ本記事で紹介します。

概要

インドネシアセカンドホームビザは、海外の富裕層を対象とした長期滞在ビザです。セカンドホームビザの対象となるのは、規定された金額以上の資金をインドネシア国内の口座に預金している外国人です。「海外の富裕層を対象」とは書きましたが、必要な金額は約1700万円ですので、退職金などでまとまった金額がある人であれば、富裕層でなくても手が届くと思います

2022年12月24日よりビザ発行を定めた通達は発効し、即時、申請を開始しました。

  • 年齢制限は無さそう
  • 20億ルピア(約1700万円※)以上をインドネシア政府系銀行の口座に入金する必要がある
    • セカンドホームビザの有効期間中は引き出し不可
  • 有効期間は5年または10年
  • 滞在義務の有無は不明
  • 就労不可
  • 家族の帯同可能
  • 銀行口座開設可能

※: 2022年12月24日現在、以下全て同じ

申請手続き

流れ

2022年12月24日現在ではオンライン申請ページで行うようにとの指示となっていますが詳細は不明です。分かり次第追記します。

必要書類

  • ビザ申請書
  • パスポートのコピー(残存期間36ヶ月以上)
  • 申請者またはスポンサー名義で20億ルピア(約1700万円)以上がインドネシア政府系銀行預金されていることを示す証明書
  • 背景が白のカラー写真(4cm×6cm)
  • 履歴書
  • 職務経歴書
  • 家族ビザを申請する場合、婚姻関係、親子関係を法的に証明した書類
    • 書類は原本と宣誓翻訳者によってインドネシア語に翻訳されたもの両方を提出
  • ビザ申請料: 1 人あたり300万ルピア(約25,500円)
    • 家族ビザ申請時は人数分

詳細・補足

有効期間と再更新

有効期間については移民局通達およびホームページに5年または10年と記載されていますが、5年ビザ・10年ビザの2種類あるのか、5年ビザを再更新して最長10年間滞在可能なのかは記載がなく、現段階では不明です。詳細については、今後の移民局の発表を待つ必要があります。

家族の帯同

配偶者および子供については、結婚証明書や出生証明書などでセカンドホームビザ申請者と法的に家族であると証明される場合、家族ビザ、(正式には、帯同者用セカンドホームビザ)が付与されます。こちらのビザも就労は禁止されています。

銀行口座の開設

申請者は、ビザ申請前に20億ルピア(約1,700万円)以上の保証金をインドネシア政府系銀行に入金する必要があるため、銀行口座を開設できますが、この保証金は、セカンドホームビザの有効期間中は引き出すことができません。セカンドホームビザ取得後は他の長期滞在者同様、インドネシア国内のどの銀行でも口座を開設することができます。

主なインドネシア政府系銀行は以下の通りです。

  • PT Bank Negara Indonesia(Persero)Tbk(インドネシア国立銀行)
  • PT Bank Rakyat Indonesia(Persero)Tbk(インドネシア国民銀行)
  • PT Bank Tabungan Negara(Persero)Tbk(国立貯蓄銀行)
  • PT Bank Rakyat Indonesia(Persero)Tbk(マンディリ銀行) 

就労

移民局通達にはセカンドホームビザの定義に「非就労」と明記されており、インドネシア国内の就労はできません。しかし、インドネシア国内の投資を促すことがセカンドホームビザの目的であるため、今後、投資や起業を条件に就労が可能とされる可能性もあります。移民局からの今後の発表が注目されます。

家族の就学

家族の就学について、移民局通達には記載がありません。家族用ビザで就学できるのか、改めて学生ビザを取得しないといけないのか、今後のインドネシア政府の発表を待つ必要があります。

他のセカンドホームビザとの比較

現在、ASEAN 諸国ではインドネシアのほかにマレーシア、タイ、カンボジアでセカンドホームビザを導入しています。「海外の富裕層を呼び込み自国の投資を活性化させる」という目的は共通していますが、資格要件や恩典が大きく異なります。

本サイトではマレーシアについては既に記事を書きました。カンボジアについても近日中に書く予定です。

ここでは各国のセカンドホームビザの大まかな比較をしてみます。

資格要件


年齢要件資産要件所得要件その他
インドネシア (セカンドホームビザ)なし20億ルピア(約1700万円)以上なしなし
マレーシア (セカンドホームビザ)35歳以上100万リンギット(約3,000万円)以上4万リンギット(約120万円)以上なし
タイ(LTR)なし50万米ドル(約6,600万円)以上年収4万ドル(約530万円)以上保障額5万ドル以上の医療保険加入
カンボジア (セカンドホームビザ)18歳以上10万米ドル(約1,330万円)以上ビザ申請ではないが、外郭団体会員申請時に所得証明書提出内務省外郭団体の会員に強制加入 カンボジア国内で犯罪歴なし

各国のセカンドホームビザの資格要件を比較したところ、タイの資格要件は非常に高くなっていることが分かります。カンボジアは資格要件が緩く見えますが、申請前に強制加入する内務省外郭団体への加入申請時に所得状況など細かいところを審査されます。マレーシアは年齢制限があり、また資産要件も比較的高くなっており、4ヵ国の中ではインドネシアの資格要件が一番緩くなっています。

特典


ビザ年数就労免税その他
インドネシア (セカンドホームビザ)5年間再更新可 最長10年不可なしなし
マレーシア (セカンドホームビザ)5年間再更新可
50歳以上で、特定分野で専門的スキルを有する者は、週20時間まで就労可なしなし
タイ(LTR)5年間再更新可 最長10年就労許可証発行一部、所得税率減免年4回の在留レポートが年1回のみ 再入国許可書が不要で出入国可
カンボジア (セカンドホームビザ)10年間 5年滞在後申請すれば市民権も付与就労許可証発行なし年間最大100,000米ドルまで補償の医療保険が付与

マレーシア以外は1回5年、最長10年ということで共通しています。就労ですがインドネシアは就労ができません。また、その他の特典についても現段階では不明であり、今後の移民局からの発表を待つ必要があります。他の国は投資促進や高度技能人材を呼び込む観点から就労を許可しており、特にタイは一部、所得税の減免をしており、他の国に比べ大きな特典が付与されています。

インドネシアについて

インドネシアは東南アジア南部に位置し、約18,000の島々からなる島国です。国土は日本の約5倍の広さで、人口は世界4位の約2.5億人です。首都はジャカルタ。総人口の5割が30歳未満という若い国(日本は26%)です。公用語のインドネシア語です。

治安

外務省の海外安全ホームページの最新情報によると、

  • 中部パプア州(プンチャック・ジャヤ県、ミミカ県のみ)及び中部スラウェシ州ポソ県 → レベル2「不要不急の渡航は止めてください。」
  • それ以外のすべての地域→レベル1「十分注意してください。」

となっています。レベル1の地域であれば必要以上に身構える必要はありませんが、ひったくりや寸借サギといった犯罪は頻繁に起こっているため、現金や貴重品の管理は慎重にする必要があります。また、夜間は一人で出歩くことは控えたほうが賢明です。

インドネシアは政治的に不安定なためデモが起こった場合、騒乱に発展する可能性も非常に高く、安易に近づくと巻き込まれ、最悪の場合、生命の危機に瀕する可能性もあるためデモには絶対に近づかないようにしてください。

物価

インドネシアは首都ジャカルタとその他の地域で物価が大きく変わります。WiFi 完備のアパートを借りて一人暮らしをした場合、ジャカルタの平均生活費は1,690万ルピア(約14.5万円)となります。東京23区では約18万円のため、日本の生活費より少し安いくらいです。

一方、ロングステイで人気のバリ島では平均生活費は1,000万ルピア(約8.5万円)とかなり低くおさえることができます。ただし、バリ島は日本やジャカルタに比べてかなり不便です。資産に余裕をもって長期滞在するセカンドホームビザで住むのに適した地域なのかどうかは十分に検討する必要があるといえます。

まとめ

インドネシアのセカンドホームビザは、これから申請が開始される長期滞在プログラムです。まだ不明なところも多くありますが、タイやマレーシアの同様のプログラムと比較して、申請がしやすくなっています。

インドネシアは人口も日本より多く、そのうち50%が若年層で「人口ボーナス期」が2030年代~2040年代まで続き、大きな経済発展が見込まれます。比較的物価も安く、また治安もある程度安定しているため移住の選択肢の一つとして検討されてみてはいかがでしょうか。

気に入ったらシェアをお願いします

コメントする