本サイトでは基本的に投資家用ビザは扱わないと書きましたが、ウクライナでは10万ドル(約1,100万円)以上という比較的低額な投資金額で永住権取得が可能なため、今回記事にまとめました。
ウクライナ投資永住権概要
- 10万ドル(約1,100万円)以上の投資が必要
- どんな投資でも本制度の対象となるわけではありません
- 実務的には、ウクライナ法人を設立して資本金として10万ドルを投資するという形です
- 10年毎に更新
- ID カードの期限が10年間
- 滞在義務が無い
- 就労可能
- 家族の永住権は、本人が永住権を取得した後で申請
永住権取得方法
流れ
取得までは結構複雑ですので、大まかな流れを記載します。
- ウクライナへ D visa(長期査証)で渡航
- ウクライナで法人設立、資本金投入、証明書取得(全部で10日程度)
- 納税者ID (taxpayer ID)を取得: 3営業日程度
- 健康診断を受ける
- 個人の銀行口座を開設
- 海外(日本など)から10万ドル以上を銀行口座に振込
- 会社(LLC)を登記: 1営業日程度
- 会社の銀行口座を開設し、個人口座から資本金を振込
- 銀行(会社の銀行口座の方)から、投資の証明書を得る: 3営業日程度
- この後、会社の資本金から不動産などに投資出来ます
- (この時点で一度ウクライナを離れても良い)
- 移住許可(Immigration Permit)を申請(取得までに最長で1年間)
- 取得場所
- ウクライナ国内にいる場合は移民局(State Migration Service)にて
- ウクライナ国外にいる場合は大使館か領事館にて
- 発行までは通常は数ヶ月〜半年程度、最長で1年かかります
- 取得場所
- ウクライナ国外にいる場合は、D visa(長期査証)を取得し、ウクライナに再度渡航
- ウクライナ国外にいる=手順3−8でウクライナを離れた場合
- 移民局にて永住権(Permanent Residence Permit)を申請・取得: 15営業日
- ウクライナ国外から渡航してきた場合は、渡航後5営業日以内に申請する
- 移民カード (Permanent Resident Card、身分証明書)を取得
- 家族の永住権を申請・取得
必要な書類
移住許可(Immigration Permit)取得に必要な書類は以下の通りです。
- パスポート
- パスポートサイズの写真3枚
- 銀行が発行した投資証明書
- 居住国(国外で申請する場合)またはウクライナ(ウクライナで申請する場合)での住所を証明する書類
- 無犯罪証明書
- 健康診断の結果
- 家族構成が分かるもの(戸籍謄本等)
永住権(Permanent Residence Permit)取得に必要な書類は以下の通りです。
- パスポート及び D visa
- 移住許可(Immigration Permit)
証明書類はウクライナ語への翻訳が必要です。詳細は以下のページを参照して下さい。
Obtaining immigration permit :: State Migration Service of Ukraine
必要な費用
- 取得にかかる初期費用
- 資本金: 10万ドル(約1,100万円以上)
- 業者の手数料: 10万円〜20万円程度
- 渡航 x 2回、滞在費 x (10+15)日: 50万円程度(※)
- その他の初期費用
- 引っ越し費用、住居が決まるまでの滞在費: 100万円程度(※)
- 会社の運営費用(会社を持ち続ける場合)
- 50万円/年(※)
- 会社清算費用(永住権取得後会社を清算する場合)
- 業者の手数料等: 10〜20万円程度
※: かなり大雑把に出しています
初期費用として1300万円くらいあれば良さそうです。
詳細・補足
ビザの種類
ウクライナのビザの種類は、以下のページに記載があります。
Visa information | Ministry of Foreign Affairs of Ukraine
永住権取得のためにウクライナに渡航する際には、90日間有効な D visa が必要です。
ウクライナへの旅行などは、ビザ無しで問題無いのですが、永住権の取得の際には D visa が必要のようです。(永住権以外の場合も同様のようです。)
ビザと滞在許可
上の方の「流れ」の項で、D visa、移住許可(Immigration Permit)、永住権(Permanent Residence Permit)という3つの似たようなものが出てきましたが、それぞれの大まかな説明としては以下の通りです。
- D visa: ウクライナへの入国、90日以内の滞在に必要。D visa で入国し、滞在許可を取得する
- 永住権(Permanent Residence Permit): 永久で滞在できる許可。ウクライナ国内で申請する
- 移住許可(Immigration Permit): 永住権取得に必要な書類
単純に不動産投資をしただけではダメ
「ウクライナ 投資 永住権」などで検索すると、「不動産投資で永住権が得られる」とだけしか書いていないページが多いですが、実際には本記事に記載した通り、法人を設立してそこに10万ドル以上の資本を投下する必要があります。
その後に、その資本金から不動産を購入して、その不動産に住むという事は可能です。
その他の選択肢
10万ドル(約1,100万円)も投資できない人の場合、以下の選択肢があります。
- 法人(資本金10万ドル未満)を設立して、取締役として就労許可(Work Permit)、一時滞在許可(Temporary Residence Permit)を取得する
- 有効期間3年、延長可能
- IT技術者の場合、IT技術者向け永住権を取得
前者は、今回説明した方法と似ていますが、資本金が10万ドルに満たない場合には永住権ではなく3年間の滞在許可になる、という形です。
後者については、別途記事を書きましたので、興味のある方はご参照下さい。
まとめ
ウクライナの投資による永住権取得は、投資金額が10万ドル以上と比較的低額です。また、滞在義務も無く更新も10年ごとなので、かなり使い勝手の良い制度と言えそうです。