フィリピン ASRV

前回、フィリピンのリタイアメントビザである SRRV について書きましたが、今回は、もう1つのリタイアメントビザである ASRV について書きます。

はじめに(コロナ関連)

2021年5月30日現在の情報として

  • ASRV の申請は中断している訳では無い
  • ただし、フィリピン国内に滞在している人のみ?

ということで、SRRV と似たような感じです。従って、実質的には申請停止中とみて良さそうですが、今後徐々にフィリピン国外の人でも申請できるようになるものと思われます。

ASRV 概要

ASRV はリタイアメントビザの1つと分類して良いでしょう。ASRV は APECO Special Resident Visa の略で、以前は「APECO特別永住権(APRV)」と呼ばれていました。ASRV は、フィリピンのオーロラ州経済特区(APECO) が取り組む振興事業と連携しているようで、以下の特徴があります。

  • 年齢制限無し
  • 4泊5日という短い現地滞在期間で取得可能
    • オーロラ州に滞在する必要は無い
  • 費用は約530万円〜
    • 家族1名追加につき、約65万円
      • 配偶者、及び20才未満の子供が対象
  • 滞在期限の制限無し
    • 滞在義務は無し(一般的なリタイアメントビザと同様)
  • 銀行口座開設可能
    • 証券口座も開設可能
  • 就労も可能だが、AEP (Alien Employment Permit) の取得が必要
    • 就学も、SSP の取得が必要
  • APECO リゾート施設のリゾート会員権付き

短い時間で容易に取得が可能な反面、費用はそれなりにかかります。

なお、フィリピンに移住するには他の方法もあり、以下の記事で比較していますので、合わせて参照して下さい。

申請手続き

色々調べましたが、日本語では以下の情報しかありませんでしたので、基本的にはこちらの業者さん(?)経由で申し込む事になると思います。

フィリピン永住権ビザ取得・APECO特別永住権プログラム・・・

流れ

以下、取得の流れです。

  1. ASRV 申込書提出
  2. お金の振り込み
  3. パスポート、各種書類の提出
  4. 現地ツアー(4泊5日)、取得完了

かなり簡単なのが分かるかと思います。

必要書類

  • パスポート
  • 写真
  • 申込書

必要な金額

申請自体にかかる費用としては以下の通りです。

  • ASRV 取得手数料: 18,000ドル(約198万円)
  • APECOプログラム参加料: 30,000ドル(約330万円)
  • 外国人登録証(ACR-I)取得費用: 360ドル(約4万円)

申請関連で約532万円です

家族追加の際には、以下の金額が必要のようです。

  • ASRV 取得手数料: 2,400ドル(約27万円)
  • APECOプログラム参加料: 3,000ドル(約33万円)、4人目以降は9,000ドル(約99万円)
  • 外国人登録証(ACR-I)取得費用: 480ドル(約5万円)

次に申請手続きのために必要な費用ですが、以下の通りです。

  • 業者への費用: 上の「ASRV 取得手数料」に含まれている
  • 書類取得関連費用(戸籍謄本、写真、役所に行くための交通費など): 若干
  • 飛行機: 往復で4万円〜10万円程度
  • 現地での滞在費: 1500円〜5000円 x 4泊5日

合計で6万〜12万程度でしょうか。

(2021年7月13日追記)50才未満の場合の値段が以下の通り改定されるようです。

  • APECOプログラム参加料 40,000ドル(約440万円)
    • 以前より10,000ドル(約110万円)値上げ
  • ASRV取得手数料 18,000ドル(約198万円)
  • 合計 約638万円

出来ること・出来ないこと

就労は本人のみ可能だが AEP の取得が必要

ASRV は、それ単体では就労が許可されておらず、就労するためには AEP (Alien Employment Permit) の取得が必要です。SRRV と同様ですね。

SRRV と異なり、ASRV の場合、就労が可能なのは ASRV を取得した本人のみですので、家族として追加された人は就労は不可です。

子供の就学は可能だが SSP の取得が必要

フィリピンで学校に通うためには、基本的には SSP (Special Study Permit) の取得が必要です。ASRV の場合も SSP の取得が必須です。

投資・節税も可能

銀行口座

ASRV の取得自体には銀行口座の開設は不要ですが、移住する場合は開設しておくべきでしょう。

証券口座

また、証券口座の開設も可能です。日本居住者でも、フィリピンの銀行口座がなくても開設できる証券会社も一部あるようですが、かなり選択肢が限られます。一方、フィリピンの銀行口座があれば、選択肢が広がります。

リゾート施設の利用

年間60日まで、1泊約1250円のサービス料のみで宿泊可能です。

参照: リゾート会員権の概要|リゾート会員権(利用権制)について|フィリピン永住権ビザ取得・APECO特別永住権プログラム

リゾート会員権について

ASRV は、他のリタイアメントビザと異なり、リゾート会員権が付いているので、そちらについても説明します。

施設は普通っぽい

以下のページを見る限り、普通の貸別荘みたいな感じで、可もなく不可もなしというところでしょうか。

施設と設備|リゾート会員権(利用権制)について|フィリピン永住権ビザ取得・APECO特別永住権プログラム

その他、

  • レストラン、バー
  • スパ、大浴場
  • プール、ジム
  • レクリエーションルーム、カラオケ、ビリヤード、ミニ映画館
  • 会議室

などがあるようです。多分、良くあるリゾートホテルみたいな感じでしょう。

ただ、まだ建設中ということなので、実際にどの程度のものなのかは、完成してみないと分かりません。

交通の便は悪い

マニラから6時間とかはかかるみたいなので、ちょっとだけ滞在とかは無理だと思った方が良さそうです。

「将来的にカシグラン空港の国際線アップグレードが予定されています」とのことで、そうなればマニラから1時間以内でいけるようになると書いてあります。

ただ、ちょっと調べた限りだと、Casiguran 空港というのは小さい空港のようなので、Aurora 州としては国際空港にしたい、くらいの話では無いかと思います。例えるなら、日本全国で○○新幹線が計画されている、といったのと同じようなものかと。

現地へのアクセス|リゾート会員権(利用権制)について|フィリピン永住権ビザ取得・APECO特別永住権プログラム

売買可能らしい

「APECO特別永住権を返上する場合、リゾート会員権は他者に売却することも、そのまま保持することも可能です。」

とのことです。

これを読む限り、ASRV を返上する場合のみ売却できるようなので、永住権だけ取得してリゾート会員権は売却するというのは出来なさそうです。

ASRV に向いている人・いない人

忙しい人 → ASRV

SRRV の取得のためには、通常はフィリピン国内に1ヶ月程度滞在することが必要ですが、ASRV であればフィリピン滞在が5日で済みます。

ちなみに、SRRV の場合、いくつかの業者では1ヶ月より短時間の滞在で済むプランもあるようです。

現地に永住はしないけど、永住権が欲しい人 → ASRV

フィリピンに永住したい人は、ビザ取得時に現地の滞在日数が長い事はあまりデメリットにならないと思います。例えば SRRV であれば、現地に40日とか滞在して、取得出来たらそのまま滞在し続ける、というのも良くあるケースだと思います。

一方、フィリピンに永住はしないけど、以下のような理由で永住権が欲しい人には、現地滞在が4泊5日で済む ASRV は魅力的です。

  • 銀行口座・証券口座を作りたい
  • 頻繁に長期滞在したい(例:毎年冬の時期だけフィリピンで暮らしたい)
  • 当面は日本に住むけど、何かあった時の移住先を確保したい

現地で就労・起業したい → クォータビザも選択肢

ASRV でも AEP を取得すれば就労可能ですが、必ず取得出来るとは限りません。

一方、クォータビザであれば、就労にあたり AEP の取得は不要です。

お金を節約したい → SRRV

ASRV は、SRRV に比べて費用面で不利です。そもそも SRRV より高額ですし、人数に応じてかかる追加費用がそれなりの金額です。また、ASRV では、支払うお金は「預託金」ではなく「プログラム参加料」ですので、返金はされません。

一方、SRRV は、他国のリタイアメントビザと比較しても、金額が安いですし、預託金はビザをキャンセルすれば返還してもらえます。なお、本サイトのリタイアメントビザに関する記事は、以下にまとまっています。

リタイアメントビザ アーカイブ – 非富裕層向け海外移住情報

まとめ

フィリピンの ASRV は、年齢制限も無く、簡単・短時間に取得できるリタイアメントビザです。

SRRV を取得するほど時間が取れない、今すぐ移住するわけでは無い、といった人には最適なビザだと思います。

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「フィリピン ASRV」への2件のフィードバック

  1. 3人の家族でのフィリピンへの移住を考えており、サイトを拝読しました。ビザ代行業者のサイトは客観的ではない上に、フィリピンのビザは複雑で理解しきれず困っていたのですが、御サイトは詳細でよくまとまっていて非常に助かりました。記事を読ませて頂いて、家族全員でのビザとしてはASRVに魅力を感じました。もしお分かりになればお教え頂きたいのですが、追加できる家族というのは、どの範囲なのでしょうか?私の子供は20代半ばで現地での就職を視野に入れており、私たち夫婦は日本での会社を畳んで引退しようとしているので就業する必要はありません。私と子供がそれぞれASRVを取得して私のASRVに妻を追加することはもちろん可能でしょうけれども、もしも子供がASRVを取得して私たち夫婦を追加ということができれば、トータルでの取得費用を抑えられるのではないかと考えました。よろしければ、お時間のある際に、記載のemailアドレスにお返事頂ければ幸甚です。どうぞ宜しくお願い致します。

    返信
    • コメントありがとうございます。ASRV で追加可能な家族は、配偶者及び20才未満の未婚の子供のみです。
      ご記載頂いた email にも別途ご連絡差し上げます。

      返信

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