ドイツにはフリーランス向けのビザ(正確には滞在許可)があり、それで滞在している日本人もそれなりの数がいます。また、デザイナーなどの場合「アーティストビザ」と書いている方もいますが、手続き等は基本的にはフリーランスビザと同じですので、まとめて紹介します。
概要
- 6ヶ月〜3年間有効
- 更新可能
- 6ヶ月以上連続でドイツを離れる事は出来ない
- フリーランスとして活動する領域を予め申請する
- その領域以外の仕事は不可
- 事業計画、収支計画などが必要
- ドイツ国内に既に顧客がいることが必須
- 滞在先を管轄する外国人局にて申請する
- 地域によって条件・難易度などが異なる
他のヨーロッパ各国にあるフリーランスビザと似たような感じだと思います。
取得方法
流れ
- 日本で取得する必要がある書類を取得
- ドイツへビザ無しで渡航
- 住む場所を確定(ドイツ渡航前にオンラインで決める事も可能)
- 外国人局の予約を取る
- 銀行口座の開設、健康保険の契約、住居登録
- 必要書類を集める
- 外国人局での面接
- 滞在許可受け取り、及び手数料の支払い
- 面接後すぐに許可される場合もあれば、申請書類を他の役所に回され、受け取りまで数ヶ月かかる場合もあります
外国人局では、担当者によっては英語でのやり取りも可能ですが、ドイツ語でのやり取りが発生すると思っておいた方が無難です。ドイツ語に堪能な方以外は、移民弁護士やコンサルタント、あるいは最低でもドイツ語が話せる友人を連れて行くべきです。
必要書類
- 申請書類
- パスポート
- 写真
- ドイツの住民票
- 住居の証明(賃貸契約書等)
- 健康保険の証明
- 仕事・専門性に関する書類
- 職務経歴書(CV)
- ポートフォリオ・過去の実績
- 大学の卒業証明書等
- 過去の勤務先、顧客、大学教授などからの推薦書
- 経済力に関する書類
- 銀行の残高証明書
- 定期収入の証明(アーティストの場合)
- 事業に関する書類
- 事業計画書
- 収支計画
- ドイツ国内のクライアントとの契約書等、2通以上
外国人局の場所・担当者によって必要な書類は若干異なるようです。
必要な金額
必要な費用は、大雑把に以下の通りです。
- 申請自体にかかる費用、必要書類の取得費用: 2〜3万円
- 申請に関連する費用
- 業者(エージェント)に支払う費用: 1000ユーロ(約13万円)前後〜
- 渡航費用: 約10万円
- 現地での健康保険: 1000ユーロ(約13万円)前後/年
- 現地物件の前家賃、保証金: 1000ユーロ(約13万円)〜 x 4〜6ヶ月分
- その他
- 引っ越し費用: 50〜100万円
150〜200万円程度は用意しておけばとりあえずは大丈夫だと思います。
必要な預金残高
フリーランスビザの要件の1つとして、当座の生活費に困らないくらいのお金が銀行口座にある必要があります。
ドイツの場合は具体的な金額は決まっていないようですが、色々な情報を総合すると、月に1000ユーロ(約13万円)は必要なようです。申請月数x1000ユーロの預金残高があれば良いと思います。
詳細・補足
最近は結構審査が厳しくなっている
ドイツのフリーランスビザは、以前であればかなり簡単に取得出来たようですが、ここ最近は審査が厳しくなっているようです。上に書いた通り、ドイツ国内のクライアントが2件以上必要となっているのもそうですし、初回は1年〜2年分しか発行されないことが多いようです。
外国人局、担当者によって言うことが異なる
日本語のページ英語のページ問わず、ドイツでの滞在許可取得は、外国人局・担当者によって対応が異なる、という情報が多く見つかります。
ドイツの滞在許可は、居住する地区を担当する外国人局にて申請を行うため、外国人局によって対応が異なるようです。日本人が多く住むベルリンやデュッセルドルフでは日本人に割と慣れているようですが、地方都市ではそうでは無いと思います。
また、同じ外国人局でも、担当者によって必要書類が異なったりするそうなので、ある程度の運も必要なのかもしれません。
そうした運に左右されないように、
- 必要となりそうな書類は予め全て準備しておく
- 事業計画、収支計画は3年分用意しておく
- ドイツ国内の顧客をなるべく多く確保しておく
- 書類は全てドイツ語に翻訳しておく
といったことをしておく事をお勧めします。
年金加入後5年で永住権の申請が可能
ドイツでフリーランスビザ(滞在許可)を取得した後、ドイツの年金に加入し5年経過した後で、永住権の申請が可能となります。
ドイツの永住権には
- ドイツ国内のみ有効な無期限滞在許可
- EU圏内で有効な無期限滞在許可
の2つがあります。
ちなみに、後者は「EU理事会指令2003/109/EC(長期居住者指令)」(原文)に基づくもので、ほとんどの EU 加盟国で同様の制度があります。詳しくは以下のページをご参照下さい。
まとめ
ドイツのフリーランスビザ(滞在許可)は、必要な書類は多いですし、以前より取りにくくはなっていますが、それでもEUで長期滞在可能なステータスとしては比較的取得しやすいものと言えます。
EU各国の他のステータスでも同様ですが、5年間合法に滞在し年金を払った後であれば、EU 長期居住者の申請も可能ですので、EU 圏内への永住を考えている人にとっては選択肢の1つとして良いと思います。