先日、イタリアのリタイアメントビザについて記事を書きましたが(以下を参照)、今回はイタリアでフリーランスとして就労ビザを取得して移住する方法について説明します。読んで頂くとお気づきになるかもしれませんが、手続きは似ている部分が結構あります。
自営業者向けビザ概要
- 最長2年間有効、更新可能
- 5年経過後には、永住権の申請が可能
- 他のEU諸国とほぼ同様
- 5年経過後には、永住権の申請が可能
- イタリアの顧客がいた方が望ましい(必須では無さそう)
- 6ヶ月以上連続でイタリアを離れていると更新不可
- 年間の発行数に制限がある(Decreto Flussi)
- 例外あり(後述)
なお、イタリアの自営業者向けビザを使っての永住は、
- 日本で自営業者向けビザを取得
- イタリアに渡航し、1ヶ月以内に居住許可の申請、その後取得
というのが大まかな流れです。詳しくは、イタリア大使館の以下のページを参照して下さい。
取得方法
流れ
- 事前にイタリアに渡航
- 住居の取得(日本からオンラインで行っても良い)
- Nulla osta provvisorio の取得(イタリア国内の代理人・業者に依頼しても良い、後述)
- 日本で必要な書類を集める
- 在日イタリア大使館でビザ申請
- 予約が必要
- 追加で書類を求められる場合もある
- 審査(最大90日間)後、ビザを取得
- ビザが発行された後180日以内に、イタリアに渡航
- 渡航後8日以内に、郵便局で居住許可(英: Residence Permit、伊: Permesso di Soggiorno)の申請書を提出
- 申請受領の証明書をもらえる。居住許可が発行されるまでは、これが法的な滞在許可となる
- 数ヶ月後、警察にて、指紋の登録などを行う
- さらに数ヶ月後、再度警察にて、居住許可を取得
- 居住許可取得後に、市役所にて住民登録
必要書類
自営業者向けビザ
- 申請書類
- パスポート
- 帰国予定日より3ヶ月以上の有効期間と未使用のページが2ページ以上残っているもの
- パスポートサイズの写真1枚
- 住民票
- 所得の証明
- 住居の証明
- フリーランスとして活動可能な知識・技術があることの証明
- 顧客との契約書、CV、reference、など
- nulla osta provvisorio (警察からの暫定許可、後述)
- 手数料116ユーロ
居住許可
郵便局で提出する・必要なものは以下のものです。
- 申請書
- パスポートのコピー
- 海外傷害保険の証明書
- 自営業者向けビザ
- ビザ取得の際に必要だった書類
- 費用、30ユーロ+16ユーロ
イタリア語ですが、詳細は以下のサイトを参照して下さい。
Permessi di soggiorno – Poste Italiane
詳細・補足
ビザと居住許可
他の国でも良くある通り、ビザ(Residence Visa)と居住許可(Residence Permit)は別物です。
ビザを取得してイタリアに入国し、イタリア国内で居住許可を申請・取得するという流れです。それ以降は、居住許可がイタリア国内に合法的に滞在していることを証明する法的な書類となります。
ビザがあれば、初回の居住許可は基本的には問題無く取得出来ます。
この仕組みは、リタイアメントビザの場合と全く同じです。
更新手続き
居住許可の有効期間は2年間ですので、有効期限が切れる前に警察署にて更新する必要があります。(更新するのは居住許可だけで、ビザは更新する必要はありません。)
更新時には、ビザ取得時の条件が満たされているかが確認されます。また、1年間に6ヶ月以上連続でイタリアを離れていると更新できません。
Nulla osta (労働許可証)
英語でも日本語でも色んな訳語があったため(※)、とりあえず本記事ではイタリア語そのままで Null osta と書きます。
※: 英語では Google 翻訳だと clearance、業者のページだと直訳で non-impediment declaration としていたり、実際の書類の位置づけから work authorization としていたりしました。日本語ですと「労働許可証」としているページが多かったです。ただ、Nulla osta という用語は、就労ビザ以外とは関係無い文脈でも使われることがあるので紛らわしいです(例)。
自営業者向けビザ取得のためには、Nulla osta をイタリアで取得する必要があります。
一度現地に渡航して取得する事も可能なようですが、移民専門の弁護士等を代理人として取得してもらうのが良いと思います。
年間発行数の制限(Decreto Flussi)
イタリアの就労ビザには年間の発行数に制限があり、その上限に達する前に申請する必要があります。
この制限に該当しない例外もいくつかあり、例えば以下のようなものですが、該当者は少ないと思います。
- イタリアの大学を卒業している
- EU Blue Card を持っている
自営業者の種類
今回紹介しているイタリアの「自営業者向けビザ」ですが、一口に自営業者といってもいくつかのパターンがあります。
- 一般的なフリーランス
- 複数の顧客がいることが一般的
- デザイナー、コンサルタント、など
- 形式上フリーランスだが、特定の会社の仕事をしている
- 期間限定の契約社員のようなもの
- 会社のオーナー社長
- スタートアップ創業者
- 自営業者向けビザとは別に、スタートアップビザというのがある
今回は、一番最初の「一般的なフリーランス」の場合について説明しました。
他のサイトの情報も色々見ましたが、「フリーランスビザ」、「freelance visa」について書いてあるページでも、実は2番目の話だったというのが結構ありました。
5年後に永住権の申請が可能
EU圏内の多くの国と同様に、イタリアに5年間合法に滞在した後は永住権の申請が可能です。
この永住権は、EU 長期居住者であり、EU の別の国で就労することも可能です。詳しくは以下のページをご参照下さい。
まとめ
イタリアの自営業者向けビザは、年間の発行数に制限があり、取得の難易度もそれなりに高いです。
ただ、イタリアという国は食べ物も美味しく文化的にも豊かなので、住んでみたいという方も多いと思いますので、挑戦する価値はあると思います。
なお、不労所得がある人でしたら、リタイアメントビザという選択肢もあります。詳しくは以下のページをご参照下さい。