本ブログの対象読者は非富裕層なので、EU 圏の投資移民はなかなか手が出ないと思います。ただ、EU 圏の投資ビザ最安値は25万ユーロ(約3200万円)で、その他の費用も含めると3500万円で何とか収まります。
3500万円なら持ち家を売ったりして何とかなる、という人もいると思いますので、最安値の投資ビザを紹介します。
最安値は25万ユーロ、3カ国
実は、最安値の25万ユーロで移住出来る EU圏の国は、以下の3カ国あります。
- イタリア
- ギリシャ
- ポルトガル
ただ3カ国の投資ビザは性格がそれぞれ異なりますので、後ほど個別に説明します。
これらの3カ国のどれかに住みたいのであれば、その国の投資ビザ(あるいは他のビザ)を取得すれば良いですが、
「EU圏であればどこでも良いので、保険として永住権を持っておきたい」
という方であれば、ギリシャが良いかもしれません。
イタリア投資ビザ
制度概要
- 初回は2年間有効、以降3年毎に更新
- 投資が維持されていれば更新可能
- 滞在義務は無し
- 家族も同行可能
- 配偶者、扶養家族(子供、親)
- 就労、就学可能
可能な投資の種類
以下のいずれかの投資でビザを取得出来ます。
- 200万ユーロ(約2億6千万円)のイタリア国債の購入
- 50万ユーロ(約6500万円)をイタリアの会社へ投資
- 100万ユーロ(約1億3千万円)のイタリアの慈善事業に寄付
- ★25万ユーロ(約3200万円)をイタリアのスタートアップへ投資
最安値は一番最後のスタートアップへの投資です。通常の上場企業への投資に比べるとハイリスク・ハイリターンのため、リスクを取れる程度は資産に余裕がないと、難しいかもしれません。
ギリシャ投資ビザ
制度概要
- 5年間有効
- 投資が維持されていれば更新可能
- 滞在義務は無し
- 家族も同行可能
- 就労可能
- 公立学校、公的保険も使用可能
可能な投資の種類
以下のいずれかの投資でビザを取得出来ます。
- ★25万ユーロ(約3200万円)の不動産を購入
- ホテルやリゾート地の宿泊施設等の10年間のリース契約
- 25万ユーロ(約3200万円)以上のもの
- 40万ユーロ(約5200万円)のギリシャ国債の購入
- 40万ユーロ(約5200万円)を以下のいずれかに投資
- ギリシャの会社の株式か社債
- ギリシャの不動産投資会社の株式か社債
- ギリシャに本社があるベンチャーキャピタルまたは未公開会社の株式か社債
一番最初の不動産の購入が最安値です。購入した不動産は貸し出すことも出来ますし、自分で住むことも出来ます。ビザが不要になったら売却しても良いので、大きな損失が発生するリスクは比較的低いです。考えられる主なリスクとしては、物件・地域の値下がり、為替の2つでしょうか。
リース契約でのビザ取得も金額としては同じ25万ユーロですが、物件を借りるだけですので、同じ金額が必要であれば不動産購入が良いと思います。
ポルトガル投資ビザ
制度概要
- 1年間有効、以降2年ごとに更新
- ポルトガルへの滞在義務有り
- 最初の1年間は7日間、その後、2年間に14日間
- 家族も同行可能
- 就労可能
- 公立学校、公的保険も使用可能
可能な投資の種類
以下のいずれかの投資でビザを取得出来ます。
- 50万ユーロ(約6500万円)の不動産を購入
- 田舎であれば40万ユーロ(約5200万円)
- 35万ユーロ(約4500万円)の築30年超、リフォーム済み中古不動産を購入
- ★田舎であれば28万ユーロ(約3600万円)
- 100万ユーロ(約1億3千万円)の預金をポルトガルの銀行に移転
- 35万ユーロ(約4500万円)を指定された投資ファンドのいずれかに投資
- 会社への投資・雇用の創出
- 申請者が所有する会社が、新規に10人以上の雇用を創出する
- 田舎の場合は8人以上
- 既存の会社に35万ユーロ(約4500万円)を投資し、新規で5人以上の雇用を創出する
- 申請者が所有する会社が、新規に10人以上の雇用を創出する
- 寄付
- ★25万ユーロ(約3200万円)を国家遺産の保持のため
- 35万ユーロ(約4500万円)をポルトガル国内の研究開発に
最安値は25万ユーロを国家遺産の保持のために寄付することですが、寄付金は当然ですが返ってこないお金なので、「最安値」といっても選びづらいです。
従って、3万ユーロ高くなりますが、田舎の中古不動産を購入するというのが、実質的にはポルトガルに移住する最安値かと思います。
2022年初から制度が変更へ
日本語でポルトガルの投資ビザの情報を調べた方は、別のサイトで以下の情報をご覧になったかもしれません。
ゴールデンビザプログラムの大きな変更が見込まれる点は、以下の通りです。
(1)リスボン、ポルト、および沿岸地域の不動産投資によるゴールデンビザの取得はできなくなると見込まれています。しかし内陸部、およびアゾレスとマデイラの自治区での不動産投資は今回の措置の対象外です。
(2)築30年超のリフォーム済みの中古物件を対象とする35万ユーロ以上の不動産投資のオプションが、引き続き利用可能かどうかについては、まだ明確になっていません。
(3)不動産以外の投資オプションについても、最低投資額が引き上げられる可能性が噂されています。
富裕層に人気のポルトガル「ゴールデンビザ」…投資条件変更へ | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン
このページは2020年2月時点の情報ですが、その後、2021年になって変更点が確定しましたので、以下に記載します。変更が有効になるのは2022年の初めから。
- リスボン、ポルト、および沿岸地域での不動産購入ではこのビザは取得出来ない
- 2021年末までに購入すれば問題無い
- 通常の不動産購入、30年超の中古不動産購入の両方に適用
- 投資ファンドへの投資額が35万ユーロ(約4500万円)から50万ユーロ(約6500万円)へ増額
- 預金の移転の場合は、100万ユーロ(約1億3千万円)から150万ユーロ(約1億9千万円)へ増額
その他の話題
5年間居住すれば、EU 長期滞在者の申請が可能
今回紹介した3カ国の投資ビザは、ポルトガルを除くと滞在義務がありません(ポルトガルの場合も7日間/年なので、厳しくありません)。従って、日本に何かあった場合の保険として取得だけして実際には住まないという選択肢もあり得ます。
ただ、実際に移住した場合は、5年間連続して居住すると EU 長期滞在者の申請が可能となります。詳しくは以下のページを参照して下さい。
制度・金額は良く変わる
投資ビザに限りませんが、ビザ・永住権の制度は結構良く変わります。投資ビザの場合は、国内に投資を呼び込むことが目的ですので、経済状況、投資状況によって金額が増えたり減ったりというのは良くあります。
上で紹介したポルトガルに関しては、来年より金額が増額されたり条件が厳しくなりますし、イタリアの場合も、現在の金額に変わる前は倍の金額が必要でした。
制度の変更は、専門家あるいは本サイトなどを通じてこまめに確認し、もし移住したい国の投資ビザの投資必要金額が低くなったのであれば、思い切って取得してみてはどうでしょうか。
まとめ
今回の3カ国のどれでも良いのであれば、比較的低リスクなギリシャの不動産投資が一番良いかと思います。
投資ビザは、その国への滞在義務が無い(あるいは緩い)のが大きな長所です。条件は数年単位で良く変わりますので、今すぐ移住する予定が無くても、取れるときに取っておくというのも一つの選択肢です。
特に、EU 圏のビザがあれば、移住して5年後には EU 長期滞在者の申請が可能ですので、もし取得出来れば生活の自由度が増すと思います。
もちろん一番のネックは高額な投資金額をどう用意するかという点ですが、25万ユーロ(約3200万円)、その他の費用も含めて3500万円であれば何とか用意できるという方は、富裕層で無くてもそれなりにいると思います。
我々非富裕層としては、「EU 圏の投資ビザ取得」をちょっと高めの長期的な目標としておくのも、人生にやりがいが出来て良いかもしれません。