ギリシャでもデジタルノマドビザが導入されるというニュースは今年の初めくらいから出ていましたが、法案が9月の初めに議会を通過したようです。”greece digital nomad visa” などと検索すれば英語の情報は色々出てきますが、日本語の情報は少ないようなので、簡単にまとめます。
法案の内容、制度の概要
色んなキーワードで検索したところ、Work from Crete というクレタ島政府(?)が運営しているサイトで非公式ですが当該法案の英語訳が見つかりましたので、そちらを参照します。
非公式の英訳: Law 4825/2021, Article 11
制度の概要としては以下の通りです。
- ギリシャ外の企業の会社員、ギリシャ外の顧客を対象とするフリーランスなどが対象
- 手取りで3,500ユーロ/月(約45万円)以上の収入が必要
- 家族も同行可能、但し必要な収入額が増える
- 配偶者ありの場合20%増
- 子供1人につき15%増
- 1年間有効
- その後は、2年毎に更新
- 1年間の間に6ヶ月以上ギリシャを離れると更新不可
- 出来る事・出来ない事
- ギリシャ企業での就業、ギリシャ企業へのサービス提供は不可
- 子供は就学可能
メリット
長期滞在可能
大抵のデジタルノマドビザは、所定の期間(1年間が多い)を過ぎると帰国しなければいけないのですが、ギリシャのデジタルノマドビザは、条件を満たしている限り更新は可能です。よって、一つの国に腰を落ち着けたい方には良いと思います。本サイトのデジタルノマドビザ関連の記事は、以下のリンクから参照できます。
デジタルノマドビザ アーカイブ – 非富裕層向け海外移住情報
なお、EU各国では、ある国に合法的に5年間滞在すれば EU 長期滞在者となれる制度がありますが、デジタルノマドビザで5年間滞在すると EU 長期滞在者の申請が出来るかどうかは現時点では不明です(何となく無理な気がしますが)。
所得税が7年間半分、但し元の税率がかなり高い
ギリシャの所得税は日本と同様に累進課税で、最大で44%です。以下のページを参考にしました。なお、日本のサイトでは40%と書いているものも見られましたが、これは古い情報です。
日本の場合、住民税と合わせると最大55%なので、日本よりは安いと思われるかもしれませんが、そうではありません。ギリシャの場合は最高税率に達するのが年間40,000ユーロ(約520万円)で、それを超えた部分には44%の税率がかかります。例えば年間60,000ユーロ(約780万円)の収入があると所得税は単純計算で18,300ユーロ(約240万円)ですので、かなり高いのが分かるかと思います。
所得税率が半分になる事で、日本よりはそれなりに税金が安くなります。ただ、税金面だけのメリットを考えるのであれば、UAE (0%、物価は高いですが)、あるいはパラグアイ、カンボジア、ウクライナなど他の国の方が安いので、税金面だけでギリシャを選ぶというのはあまり合理的ではありません。
まとめ
ギリシャでは9月の初めにデジタルノマドビザの法案が議会を通過し、2022年より運用が開始されるようです。ギリシャのデジタルノマドビザは、他の多くの国と異なり更新可能ですので、ヨーロッパに長期移住したい方には良い選択しかもしれません。
同ビザは、申し込み方法などの詳細はまだ分かっておりません。本サイトでは、新しい情報が入り次第、随時更新していこうと思います。