北欧のノルウェーには個人事業主向け就労ビザがありますので、今回紹介します。他の国の個人事業主向け(フリーランス向け)就労ビザと同様、基本的にはノルウェーの顧客がいることが前提のようです。
ちなみに、正確にはビザではなく滞在許可です。
概要
実は、ノルウェーに個人事業主として滞在するには、
- ノルウェー国外(日本等)の個人事業主として滞在する
- ノルウェーで個人事業主として登録(起業)して、その資格で滞在する
という2通りがありますが、今回は前者について説明します。
以下、概要です。
- ノルウェー国外の個人事業主が対象
- ノルウェー企業の顧客がいること
- 他のノルウェー企業とも契約する際には、改めて本滞在許可を別途申請する必要がある
- 2年間有効、最大6年間まで更新可能
- 取得には、学歴あるいは資格が必要
- 大卒、など
- 397,100クローネ(約534万円)以上の年収が必要
- 家族も同行可能
英語ですが、ノルウェー移民局の以下のページに、基本的な情報がまとまっています。
Want to apply: Skilled workers – UDI
ビザ取得、更新の方法
全体の流れ
ノルウェー国内で提出する場合と国外で提出する場合で若干異なるのですが、日本人の場合、ノルウェー国外での提出の場合は中国の北京での提出となるようなので、ノルウェーに行って提出した方が楽かもしれません。以下はその前提で記載します。
- 必要な書類を集める
- オンラインで申請、手数料の支払い
- ノルウェーに渡航
- 管轄の警察署にて必要な書類を提出
- 審査に最大3ヶ月程度かかる
- 申請が許可されたら、警察署にて滞在者カードを取得
必要な書類
- パスポート、及び使用済みページ全てのコピー
- 手順2の後にメールで送られてくる「カバーレター」
- パスポートサイズの写真(白背景)x 2
- ノルウェー国内の住居の証明
- ノルウェー企業との契約
- ノルウェー国外で個人事業主であることを証明する文書
- 学歴の証明
- 職務経験を示す書類
- CV
- UDI (ノルウェー移民局) のチェックリスト(後述)
UDI のチェックリストとは、前述のノルウェー移民局のページに行き
「Self-employed persons with a company abroad」→「How to apply」ボタンをクリック
の後に、画面の指示に従うと表示されます。
必要な金額
手数料は以下のページに記載がありますが、6,300クローネ(約8万5千円)です。
補足・詳細
ノルウェー国内で個人事業主となる場合は別の手続き
最初の方に書きましたが、今回は、外国(日本等)で個人事業主として活動している人が、ノルウェーの企業の仕事をするためにノルウェーに滞在するための滞在許可について説明しています。
ノルウェー国内で個人事業主となって滞在する場合は、上述の移民局のページで
「Self-employed persons with a company in Norway」
を選択して下さい。
こちらについては、別途記事を書こうと思いますが、主な違いとしては
- ノルウェー国内で個人事業主となる場合は、一定期間後に永住権の申請が可能
- ノルウェー国内で個人事業主となる場合の方が、必要な書類などが多い
かと思います。
個人事業主?法人
今回説明している滞在許可は、「Self-employed persons with a company abroad」を対象としています。大雑把に訳すと「海外法人を持っている自営業者」が対象ということでしょう。一方、上述のページにある条件の説明のところで
- You must be a self-employed person with an established business abroad.
- The business concerned must normally be your own sole proprietorship. The business cannot be a limited company.
という項目があります。個人事業主(sole proprietorship)でなければいけなくて、会社(limited company)ではいけないと書いてあります。
(実際に申請を検討している人は、ノルウェー大使館などに問い合わせるのが確実ではありますが、)個人的には以下の通り解釈しました。
- 「a company abroad」でいう company は business の意味で、必ずしも会社・法人を意味するものでは無い
- 「個人事業主(sole proprietorship)でなければいけなくて、会社(limited company)ではいけない」というのを素直に解釈すれば良い
法人の場合は「Employees of companies abroad who are going on assignment in Norway」という別のカテゴリーがあるので、結論としては日本の場合、個人事業主として開業届をして実際に仕事をしている人が対象で、株式会社や合同会社の場合は一人法人だったとしても対象では無いと思います。
サイトがわかりやすい
上述の移民局のページは説明が分かりやすく、国籍やどこの国から申請しようとしているのかなどを選択すると、それに合わせた情報が表示されたりするので、ノルウェー移住を検討している人は、まずはこちらからいろ色情報を仕入れるのが良いと思います。
コロナ禍で色々制限がある
2021年10月15日現在、日本国内としては状況が大分落ち着いてきましたが、ノルウェーへの入国にはコロナ関連での制限がまだまだあります。実際に申請を検討している人は、上述の移民局のページや各種公的機関に直接確認することをお勧めします。
ノルウェーについて
最後に、ノルウェーという国自体について少し説明します。
基本情報
国としての基本的な情報は、以下の Wikipedia のページだったり、各種の旅行サイトとかを見れば分かるかと思います。
その中でも
- 北欧にあるため寒い
- 物価はヨーロッパの中でも高い方
といった事は多くの人が知っている事かと思います。
非 EU、ただしシェンゲン協定には加盟
ノルウェーは EU には加盟していません。通貨もユーロでは無く独自のクローネです。一方、シェンゲン協定には加盟しているため、EU 各国との国境をまたいだ移動は自由です。
本サイトに関連する話ですと、EU には加盟していないため、EU ブルーカードや EU 長期居住者の制度などはノルウェーにはありません。
移住先として
ノルウェーは政治的にも安定して治安も良いため、住むのには問題は無いと思います。
ただ、移住に関する最大の欠点は、物価が高いことと税金が高いことでしょう。まず、物価は日本より高いです。
次に税金に関してです。所得税ですが、最高税率が38.2%に下がったため、一見すると日本と同程度に思えるかもしれません。ただ、ノルウェーの場合、低い金額で最高税率に達しますので、海外移住を検討しているような本サイトの読者の場合は、日本より負担が多くなる人が多いと思われます。また、消費税は25%ですので、日本の倍以上の税率です。
まとめ
北欧のノルウェーは、生活コストは高いですが治安も良く、こぢんまりした町並みや自然、あるいは北欧デザインなどでも人気です。
ノルウェーに移住するためのビザとして、今回個人事業主向けの滞在許可を紹介しました。手続きも比較的簡単・安価で、ウェブサイトもわかりやすく充実していますが、ノルウェー企業が顧客である必要があるのが一番のハードルかと思います。
ノルウェー移住の方法は他にもありますので、それについては別途記事を書こうと思います。