メキシコの退職者向け永住権

久しぶりにビザの記事を書きます。メキシコの退職者向け永住権で、リタイアメントビザの一種です。リタイアメントビザというと安定した年金収入があれば取得できるというのが一般的ですが、メキシコの退職者向け永住権は、必要な金額が年々高くなっています。日本人にとって比較的馴染みの深いマレーシア、フィリピンなどでも条件が年々厳しくなっていますので、本サイトを何度かご覧になっている方であれば「あー、そうなのね」と納得できる話かと思います。

概要

  • 以下のどちらかを満たす必要あり
    • 直近12ヶ月にわたり、銀行口座の情報の各月の平均残高が3,457,400ペソ(約2,100万円)
    • 直近6ヶ月にわたり、毎月86,435ペソ以上の年金(約54万円)
  • 就労可能
  • 更新不要

年金の月額が54万円というのは、なかなか大変な金額というのが分かるかと思います。直近12ヶ月の口座の平均残高が2,100万円という条件の方が、まだ楽かもしれません。

詳細は、メキシコ大使館の以下のページをご参照下さい。

6c. 永住者査証(退職者、年金受給者の場合)

取得の方法

流れ

これも、上述のメキシコ大使館のページに記載がありますが、以下の通りです。

  1. 申請書類を揃える
  2. 申請予約
  3. メキシコ大使館での面接、申請
  4. ビザ取得
  5. メキシコへ渡航
  6. 入国後30日以内に在留カードの申請

ビザを取得して現地に渡航し、在留カードを取得するという良くあるタイプですね。

必要書類

これも、大使館のページから転載します。

  1. パスポート (原本ならびに写真のページのコピー1部)
  2. 申請用紙
  3. 写真1枚(縦4cm×横3cm、背景白、額と耳が出ていること、メガネなし)
  4. 以下のどちらかの経済証明 (申請日の日本円のレートで換算)
    1. 直近12ヶ月にわたり、銀行口座の情報の各月の平均残高が3,457,400ペソ(約2,100万円)
      • 取引明細書(銀行もしくは証券会社発行のもの)または通帳
      • 退職したことを証明する書類
      • 上記書類の翻訳(書類が日本語の場合)
    2. 直近6ヶ月にわたり、毎月86,435ペソ以上の年金(約54万円)
      • 年金を受給していることを証明する書類
      • その翻訳(書類が日本語の場合)

補足

金額は上がっている

前の方にも書きましたが、必要な金額は徐々に上がっているようです。

ちょっと検索したところ、2019年10月に書かれた以下のような情報がありました。それから2年半しか経っていませんが、必要な金額はその時から6割くらい上がっています。

メキシコのリタイアメントビザは「直近12ヶ月にわたり各月の平均残高が2,053,600ペソ以上である場合」もしくは、「申請日より直近6ヶ月にわたり、毎月51,340ペソ以上の年金を受給している場合」に申請できるビザです

〇年住めば手に入るの!?意外と簡単メキシコの永住権(FM2)取得法 – メキシコ情報総合ポータルサイトamiga(アミーガ)〜メキシコシティ、グアナファト、治安、時差、観光〜

リタイアでメキシコへの移住を検討している方は、本永住権を早めに取得した方が良いと思います。

一時居住者用査証→永住権という選択肢もある

永住権の条件を満たしていない人の場合、まずは一時居住者用査証で4年間滞在して、その後に永住権に切り替えるという事も可能です。

一時居住者用査証にはいくつかの種類があり、例えば以下のものです。

4b-時居住者用査証 (現地で報酬を得ない場合) (2)

こちらの場合、必要な金額はグッと低くなり、以下のどちらかの条件を満たせば良いです。

  • 直近12ヶ月にわたり各月の平均残高が864,350ペソ以上(約540万円)
  • 直近6ヶ月にわたり各月に51,861ペソ以上の収入(約32万円)

日本のメキシコ大使館のページだとそれ以上の詳しい事(金銭面以外の条件等)はあまり書かれていませんが、他国のメキシコ大使館のページ(※)なども見てみると、こちらの一時居住者用査証は基本的には経済力の証明があれば良いようです。これに関しては、別途書こうと思います。

※以下のページを参考にしました。

若い人でも取れるかも

リタイアメントビザは、年齢制限があったり年金の受給が条件だったりと、年配の人しか取れないものが多いですが、このメキシコの退職者向け永住権は、若い人でも取れるかもしれません。

上述の必要書類の項で、2つの経済的条件のどちらかを満たす必要があると書きましたが、そのうちの「直近12ヶ月にわたり、銀行口座の情報の各月の平均残高が3,457,400ペソ(約2,100万円)」のパターンの場合、必要な書類としては

  • 取引明細書(銀行もしくは証券会社発行のもの)または通帳
  • 退職したことを証明する書類

でした。この「退職したことを証明する書類」は、自分で法人を持っている人であれば簡単に作成可能でしょう。もちろん嘘はダメなのですが、嘘をつかずとも例えば以下のようにすることで若い人でも取得出来そうです。

  1. 親に法人の代表を譲って自分はちゃんと退職する
  2. 永住権を取得する
  3. 後から再度就職する、あるいは別法人を立ち上げる

昨今、FIRE というキーワードが割と流行っていますが、若くして引退してメキシコの永住権を取得するというのもストーリーとしては自然ですし、大使館での面接でも問題とはならなさそうです。

メキシコについて

最後に、メキシコという国について少し触れておきます。

物価は日本の1/3くらい

海外に住むとなると、やはり物価と治安を気にする方が多いかと思います。メキシコの物価はというと、大体日本の1/3かそれよりちょっと高いくらいです。最近円安が進んでいますが、それを考慮したとしても、全般的には日本の半分には満たないくらいです。

ただ、治安の良いリゾート地であるカンクンだと、日本とほぼ同じ物価です。それは極端な例としても、地域によって多少は差はあります。

治安は、全般的には悪いが場所による

メキシコというと治安が悪いという印象を持つ方も多いと思います。まずは、本サイトで何度も紹介している以下のサイトを見てみましょう。

どちらのランキングでも、メキシコは(悪い意味での)上位に入っているのが分かるかと思います。

とは言え、メキシコ全土が危険かというとそうではなく、安全に暮らせる場所も多くあります。実際に移住する際には、最低限、以下の外務省のページなどは確認した上で、まずは旅行で現地を体験してみる事をお勧めします。

海外安全ホームページ: 危険情報詳細

税制面のメリットはあまり無い

メキシコは、法人税率30%、所得税率は最高35%と、ごく普通の税率ですので、節税目的での移住・起業には向かない場所です。従って、本永住権は、純粋に、メキシコという国が好きな人が取得すべきものと言えるでしょう。

まとめ

メキシコには退職者向けの永住権があります。必要な金額は結構多いですが、本当の永住権なので更新の手間などがありません。暖かいラテンの国で過ごしたい人にとっては良い選択肢だと思います。

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