イタリアにはリタイアメントビザという名前ではありませんが、リタイアした人が取得可能なビザがありますので、今回紹介します。
概要
ビザの名前は、英語で「Elective Residence Visa」、イタリア語では「Visto per residenza elettiva」で、日本語にすると「選択的滞在ビザ」という感じでしょうか。後述する通り、イタリアに住むことを選択する人向けのビザです。
- 18才以上であること
- 最低31,000ユーロ/年(約403万円)程度の不労所得(年金・配当など)があること
- 個別の状況に応じて判断されるので、もっと多くないとダメな場合もあるようです
- イタリア国内に住居が必要
- 賃貸でも購入でも可能
- 就労は不可
- リモートワークも不可
- 1年間有効
- 更新可能
- 更新後は、有効期間は2年間
- 6ヶ月以上連続でイタリアを離れていると更新不可
取得方法
流れ
- 事前にイタリアに渡航し(あるいはオンラインで)住居の取得
- 日本で必要な書類を集める
- 在日イタリア大使館でビザ(Elective Residence Visa)申請
- 予約が必要
- 面談で、イタリアに住む理由などを聞かれる
- 審査(最大90日間)後、ビザを取得
- イタリアに渡航
- 渡航後8日以内に、郵便局で居住許可(英: Elective Residence Permit、伊: Permesso di Soggiorno)の申請書を提出
- 申請受領の証明書をもらえる。居住許可が発行されるまでは、これが法的な滞在許可となる
- 数ヶ月後、警察にて、指紋の登録などを行う
- さらに数ヶ月後、再度警察にて、居住許可を取得
- 居住許可取得後に、市役所にて住民登録
必要書類
- 申請書類
- パスポート
- パスポートサイズの写真1枚
- 所得の証明
- 住居の証明
- 手数料116ユーロ
詳細・補足
ビザと居住許可
他の国でも良くある通り、ビザ(Elective Residence Visa)と居住許可(Elective Residence Permit)は別物です。
ビザを取得してイタリアに入国し、イタリア国内で居住許可を申請・取得するという流れです。それ以降は、居住許可がイタリア国内に合法的に滞在していることを証明する法的な書類となります。
ビザがあれば、初回の居住許可は基本的には問題無く取得出来ます。
更新手続き
居住許可の有効期間は1年間ですので、有効期限が切れる前に警察署にて更新する必要があります。(更新するのは居住許可だけで、ビザは更新する必要はありません。)
更新時には、ビザ取得時の条件が満たされているかが確認されます。また、1年間に6ヶ月以上連続でイタリアを離れていると更新できません。
出来る事・出来ない事
主なものを記載します。
- 子供は、公立校に無料で通うことが可能
- 就労は不可
- 投資関連
- 銀行口座開設は可能
- 不動産購入は可能
- イタリア企業への投資は可能(役員報酬などは受け取らない事)
5年後に永住権の申請が可能
EU圏内の多くの国と同様に、イタリアに5年間合法に滞在した後は永住権の申請が可能です。
この永住権は、EU 長期居住者であり、EU の別の国で就労することも可能です。詳しくは以下のページをご参照下さい。
イタリアについて
イタリアという国については情報が沢山あるので細かくは記載しませんが、移住という観点でいくつか記載します。
治安は意外に普通
イタリアの治安はあまり良くないというイメージがあるかもしれませんが、実際には、Global Peace Index (世界平和指数)では32位ですし、殺人件数も多くありません。
治安が悪いイメージの原因としては
- マフィアの存在
- 有名な観光地が多く、観光地ではスリなどの軽犯罪が多い
といったところかなと思います。
ただ、北部と南部では治安に違いがありますし、女性の場合は特に注意をした方が良いと思います。
物価は日本とあまり変わらず
イタリアの物価は日本と大して変わらないと思います。タクシーとかは安いですし、バールで飲むコーヒーも安いですが、逆に日本の方が安い物も沢山ありますし、全体的にはあまり変わらないかなと思います。
商業の中心地であるミラノが家賃なども含め一番高く、フィレンツェ、ローマなどがそれに続く、という感じです。
まとめ
イタリアの Elective Residence Visa は、不労所得がある人であれば取得可能なビザで、年齢制限はありません(18才以上であれば申請可能)。ただし、申請時の面談でイタリアに移住する理由などを聞かれますし、本当にイタリアに腰を落ち着けたい人以外は、他国に移住して、たまにイタリアを訪れる程度の方が良いと思います。