ここ最近は、ビザ・ステータス関連の海外ニュースの紹介が多かったのですが、今回は久しぶりにビザ・ステータス自体の紹介をします。
つい先日、コスタリカでもデジタルノマドビザの導入を検討中であるというニュースを紹介しましたが、(あまり有名ではないものの)コスタリカにはリタイアメントビザもありますので、今回そちらの紹介をします。
概要
年金生活者(スペイン語で pensionado)向けの制度です。
- 2年間有効
- 更新可能
- 年金の証明が必要
- 1000ドル(約11万円)/月以上
- 一生支払われる年金である必要がある
- 年齢制限はない
- 「年金の」証明が必要なので、日本人に取っては実質的には60才以上
- 家族の同行可能
- 滞在義務あり
- 年に1日以上という情報や年に4ヶ月以上という情報があった
- 公式情報は見当たらず
- 自分でビジネスを行うなどは可能だが、コスタリカ国内の企業に就職するのは不可
- 3年滞在後に、永住権の申請が可能
在米コスタリカ大使館の以下のページに、基本的な情報がまとまっています。
Requirements for temporary residence in Costa Rica | Embajada de Costa Rica en DC
ビザ取得、更新の方法
全体の流れ
典型的な流れは以下の通りです。
- 必要な書類を集める
- コスタリカに渡航
- 移民局に申請
- 審査に9〜12ヶ月かかる
- 一度帰国
- 承認の通知がメールで来る
- 帰国便のための保証金を預ける
- コスタリカに再度渡航
- 移民局で ID カードの申請など
申請はコスタリカ国内の移民局で行う必要があります。いくつかのサイトではコスタリカ大使館や領事館で申請できると書いてありますが、上述の在米コスタリカ大使館のページや、以下の移民局の PDF ファイルを見ると、コスタリカ移民局に提出すると書いてあります。
RESIDENCIA TEMPORAL PENSIONADO Y DEPENDIENTES
また、以下のコスタリカ、パナマを専門に扱う業者のページにもそう書いてあるので、コスタリカ国外(日本など)にいながら申請することは出来なさそうです。
Residency for Retired People (Pensionados) – Outlier Legal Services
必要な書類
- コスタリカ移住の理由などを記した書類
- パスポートサイズの写真2枚
- 申請費用支払の領収書
- 申請書類
- 指紋登録の証明
- 在留届出済証明(※1)
- 戸籍謄本
- パスポートの全ページコピー
- 年金の証明書
※: 英文だと Proof of consular registration. issued by the corresponding consulate in Costa Rica. と書いてありましたが、PDF の西文だと Comprobante de inscripción consular. と書いてあるので、在留届出済証明のことで間違いないと思います。
日本語の書類はアポスティーユ及び翻訳も必要です。
必要な金額
- 手数料
- 50米ドル
- それに加え、125コロン(約22円)+申請書類1ページにつき2.5コロン(約0.5円)
- 帰国便のための保証金: 1,622米ドル(約18万円)
- 帰国の際には戻ってきます
その他、飛行機代金、引っ越し費用等がかかります。
コスタリカについて
全般
地理的には中米の南の方にあるのですが、大多数の日本人にとっては馴染みが薄い国だと思います。私も「中米にある国」くらいの情報しか知りませんでした。とりあえず Wikipedia のリンクを貼っておきますので、基本情報はこちらを参照して下さい。
公用語は他の中南米諸国と同様、スペイン語です。ただ、教育水準が中米の中では高く、スペイン語だけで無く英語を話せる人が多いようです。
経済的には、観光や農業だけでなく工業(電子機器類)も主要産業です。
治安
あまり知らない国に住むとなると、治安が気になると思います。
まずは以前別の記事で紹介した以下の2つのサイトを紹介します。
殺人発生率(低いほど良い)では、ブラジルの4割程度、コロンビアの半分程度です。安全度ランキングは39位(順位が高いほど良い)で、ガーナ、リトアニア、インドネシアとかと同じくらいの順位でした。ちなみに日本は12位でした。
Wikipedia を見ると治安が凄い悪いように思えますが、殺人発生率と安全度ランキングを見る限り、一般的な中南米諸国と言えそうです。
ただ、以下の点はちょっと注意が必要そうです。
1990年代以降は、南米大陸の麻薬が北米や欧州にわたる際の中継地点とされた影響で、麻薬の一大消費地となってしまっており(444万人の国民のうち、20万人以上がコカイン中毒者)、治安の悪化と社会の不安定化が進んでいる。
コスタリカ – Wikipedia
いずれにせよ、危ない地域には近づかない、身の回りに気を配る、などの海外生活で一般的な注意は必要でしょう。
移住先として
治安に関しては上に書いた通りですが、日本人の移住先としてはどうでしょうか。
コスタリカ在住の日本人は350人程度のようですが、日本人会があるようです。
コスタリカ日本人会 オフィシャルウェブサイト コスタリカの概要
また、首都のサンホセには日本人学校がありますが、令和3年度の生徒数は、小中合わせて11人とかなり小規模です。
コスタリカは観光が主要産業で、特にエコツーリズムに力を入れており、自然豊かです。当然ですが、その反面田舎ともいえますので、都会の生活が好きな人にはあまり向かないかもしれません。
投資先として
今回紹介されたデジタルノマドビザは、保有者が銀行口座を開設できるようになるそうです。では、コスタリカの銀行口座を開設して、投資などを行うメリットはあるのでしょうか。
コスタリカの経済は、コロナ前までは比較的堅調に推移していて、GDP なども中米では比較的高い方です。一人当たりの名目GDPは中南米ではトップクラスです(カリブ海のタックスヘイブン諸国を除く)。
中南米の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング – 世界経済のネタ帳
税金に関しては、法人税率は30%で日本とあまり変わりませんが、個人所得税は最大25%と日本より低いです。ただ、その程度の税率の国は沢山あるので、わざわざコスタリカに移住する理由にはなりません。
税率に関する情報(英語): Costa Rica – Overview
比較的幅広い産業が発達していること、教育水準が高く英語を話せる人が多いこと、を考えると国としての将来性は中南米の中では比較的ある方かもしれません。
まとめ
中米のコスタリカにはリタイアメントビザの制度があり、日本人の年金受給者であれば条件も厳しくありません。エコツーリズムで有名な自然豊かな国で、治安も中南米の中では特別悪いわけでも無いので、自然が好きな人にはお勧め出来ます。
ただ、日本人の移住者は少なく、情報もあまり多くありませんので、海外の業者と英語でやり取りする必要があると思います。