世間では、ウクライナ問題、新型コロナ、と暗いニュースばかりですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
1ヶ月ちょっと前のニュースですが、ウクライナ、ジョージア、モルドバの3カ国が EU 加盟の申請を行いました。
EU加盟国 ウクライナなどの加盟交渉に向け 手続き開始で合意 | NHK | ウクライナ情勢
もちろん、ロシアのウクライナ侵攻がきっかけとなっています。ロシアのウクライナ侵攻については、個人的にも色々な思い・怒りなどがありますが、本ブログではその辺は触れず、ビザ・永住権の話題に絞って書いていこうと思います。
EU に加盟するとどうなるか
その国から他の EU 加盟国への移動は自由
海外移住をしている・したい人の立場からすると、ある国が EU に加盟することにより、その国の永住権や長期滞在ビザ保持者が他の EU 加盟国に自由に行き来できるようになる、というのが一番のポイントです。
日本人であれば、 EU 加盟国(というかシェンゲン協定加盟国)にはビザ無しで渡航できるのでは?と思われた方もいるかと思います。それは正しいのですが、滞在日数に「あらゆる180日の期間内で最大90日間」という制限があります。詳しくは以下のページを見て欲しいのですが、簡単に言うと、1年のうち半分しか EU 圏内に滞在できない、という感じです。
一方、EU 加盟国に長期滞在ビザなどで居住していれば、「あらゆる180日の期間内で最大90日間」という制限に関係無く他の EU 諸国への移動が出来ます。EU 諸国間の移動時にパスポートのチェックなどは無いためです。そのため、EU に加盟しているA国の永住権等を持っている場合、A国に住居を持ちつつも、1年の大半を他の EU 諸国を旅行しながら暮らすことも可能です。(A国の永住権・長期滞在ビザの更新条件に、A国での滞在日数が含まれる場合もありますので、その点は注意が必要です。)
その国に5年間住むと、EU 長期居住者の申請が可能
この話は過去に何度も触れましたが、EU 加盟国に5年間住むと、「EU 長期居住者」の申請が可能になります。制度の詳細については、以下の記事をご参照ください。
それら3国の状況
ここまでで、EU 加盟国で長期滞在ビザ・永住権を保持することのメリットが分かったかと思います。では、今回加盟申請をした3カ国の長期滞在ビザ・永住権はどんな感じなのかについて見ていきます。
ウクライナ
悪い意味で一躍世界中の注目を浴びることになったウクライナですが、昨年までは比較的簡単に永住権が取得出来ました。IT エンジニアであれば非常に簡単ですし、それ以外の方でも投資永住権が比較的安価に取得出来ました。本サイトのウクライナ関連の記事は以下のリンク先にまとまっていますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
こんな状況なんで、今現在さすがにウクライナの永住権の申請が可能とは思いませんし、そもそも渡航も実質不可能でしょう。ただ、戦争が終結して落ち着いてきたら、私は再度永住権取得を目指そうと思います。
ジョージア
ジョージアには1年間有効なリモートワークビザがありますが、結婚・就職経由を除くと取得可能な永住権はありません。
リモートワークビザである Remotely from Georgia というのはありますが、2022年4月17日現在、申請フォームのページが使えなくなっているので、現在申請可能なのかどうかも不明です。Remotely from Georgia の詳細は、以下のページをご参照下さい。
もう少しちゃんとした(使いやすい)永住権の制度が出来ると嬉しいですね。
モルドバ
モルドバにはお金で買える市民権(パスポート、国籍)があります。1人(独身)の場合は、必要な金額は100,000ユーロ(約1360万円)+諸経費です。公式情報は以下のページをご覧下さい。
Moldova Citizenship by Investment
ここで注意が必要なのは永住権ではなく市民権という事です。ご存知の方も多いと思いますが、日本は二重国籍を認めておりません。(実態として2つ以上の国のパスポートを持っている日本人もそれなりにいるのですが)建前としては、外国のパスポートを取得するには、日本国籍を放棄する必要があります。
個人的にはパスポートは要らず永住権だけ欲しいのですが、それが可能かどうかは大使館などに問い合わせた方が良さそうです。
まとめ
ウクライナ、ジョージア、モルドバの3カ国が EU への加盟申請を行いました。今のうちにウクライナ、ジョージア、モルドバの永住権・長期滞在ビザを取得しておくと、それらの国が EU に加盟できたときには EU (シェンゲン協定)域内の移動が自由になり、さらには、5年間滞在すれば EU 長期居住者の申請ができるようになる可能性が高いです。
なお、それらの3カ国は、いずれもロシアと地理的に近く、ウクライナは戦争中、ジョージアもロシアに支配されている地域があるなど、安全面は慎重に見極める必要があります。