カンボジアのリタイアメントビザは55才以上なら誰でも取得可能

「リタイアメントビザ」というと、フィリピンなどのように「一定額のお金を払う・預ける事で取得出来るもの」というイメージが強いかと思いますが、カンボジアのリタイアメントビザは、55才以上であれば誰でも取得可能です。

リタイアメントビザ概要

  • 55才以上なら誰でも取得可能
    • 55才未満の場合、収入証明書が必要
  • 1年間有効
  • 延長可能
  • 本人のみ有効

配偶者や子供も個別にビザを取得する必要があるため、自分は55才以上だが配偶者が55才未満、あるいは成人していない子供がいる場合などは、カンボジア法人を設立して就労ビザで移住するという選択肢などを取る必要があります。

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インドネシアの「リタイアメントビザ」は1年間だけ有効だが更新可能

今までフィリピン、マレーシアなどのリタイアメントビザを紹介してきましたが、東南アジアの大国の一つであるインドネシアはどうなのでしょうか。

結論を先に書いてしまうと、インドネシアにもリタイアメントビザはあるのですが、有効期間1年間という、若干使いにくい制度です。ただし、1年延長を4回行った後の5年後には5年更新の「永住権」に切り替えられます。

リタイアメントビザ概要

制度概要

  • 55才以上の人が対象
  • 1年ごとに更新が必要
    • 5年後(4回更新した後)に、5年更新の永住権(KITAP)への切り替えが可能
  • インドネシア政府より認可を受けたエージェントが身元引受人になる
    • 業者経由での申し込みが必須
  • 就労は不可
  • 国外に一度出る場合は、再入国許可書が必要

所謂リタイアメントビザというよりは、他国で言う「長期滞在ビザ」という感じでしょうか。

更新の頻度が1年ごとなのは面倒ではありますが、制度が無くならない限りはインドネシアに住み続けることが出来ます。

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カンボジア法人を設立しての移住は意外にハードル低め

カンボジアにはリタイアメントビザのような仕組みはありませんが、法人を設立して就労ビザで移住するのはそこまで難しくありませんので、記事としてまとめてみました。

概要

カンボジアで法人を設立し就労ビザで移住する方法の概要をまとめました。

  • 法人設立は比較的簡単
    • 外資規制業種は少なく、大半の業種で外資100%が可能
    • 最低資本金は400万リエル(約11万円)
    • 取締役は1名から、海外居住でも問題無い
  • 労働許可証の有効期限は1年間(更新可能)
  • 法人は、現地人の雇用義務は無い(社員0人で良い)
    • 社員を雇用する場合には、原則として外国人は10%以内

大まかな流れ

カンボジア法人設立

カンボジアに法人を設立する方法としては、以下のジェトロのページからダウンロード出来る資料を読むと良いと思います。

カンボジア会社設立マニュアル(2021年2月改訂版) | 調査レポート – 国・地域別に見る – ジェトロ

具体的な手順としては以下の通りです。

  1. オンラインでアカウント登録
  2. オンラインで商号予約
  3. 必要書類の準備
    • 物件の賃貸借契約書がこの段階で必要
  4. オンラインでの申請、書類アップロード
  5. 手続き費用の支払い
  6. 審査、登録完了
  7. オンラインで銀行口座証明書の提出
  8. 現地の各省庁での手続き

4番の申請から6番の登録完了までは15営業日程度です。

8番以外はオンラインで行えますが、

  • 4番の申請には、物件の賃貸借契約書も必要
  • 7番の銀行口座証明書のため、事前に銀行口座を開設しておく必要がある

という理由により、最初から現地に渡航しておくというのも良いと思います。

物件は、日本での法人設立と同様、バーチャルオフィスでも可能なようです。

銀行口座に関しては、取締役の個人口座を事前に開設しそこに必要な金額を入金する方法が一般的ですが、銀行によっては法人設立前から仮口座を開設することも可能のようです。

どんな方法を取るにしても、業者に頼んだ方が良さそうです。

カンボジアでの就労

カンボジアでの就労ビザの仕組みは若干複雑です。就労ビザで長期滞在するには、以下の流れとなります。

  1. 1ヶ月まで滞在可能なビジネスビザを、日本国内で取得
  2. カンボジアに渡航
  3. 居住許可の取得
  4. ビジネスビザの延長(最長1年間)
  5. 労働許可証と雇用カードの取得(最長1年間)

3〜5は、通常は業者に頼みます。

これ以降、1年ごとに更新していく流れとなります。

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タイのスマートビザがデジタルノマドにも門戸を開く

タイには2018年に開始したスマートビザという制度があり、特定の先端技術系産業に従事する人は最長4年のビザを取得出来ます。

タイは、このスマートビザ制度の対象にいわゆるデジタルノマドを含める予定で、現在は内閣の承認待ちのようです。承認されれば、デジタルノマドが比較的簡単かつ安価にタイに滞在できるようになるはずですので、今回はそれについて説明します。

スマートビザ概要

従来のもの

最初に、従来のスマートビザの制度について説明します。

  • 以下の種別がある
    • スマートT: 高度技術専門者
    • スマートI: 投資家
    • スマートE: 上級幹部
    • スマートS: スタートアップ企業の起業家
    • スマートO: スマートビザ取得者の法律上の配偶者及び子女
  • 特定の産業(ターゲット産業)に従事している人が対象
    • スマートT、Eの場合、雇用主の企業はターゲット産業に従事しているという承認を政府から得る必要がある
  • 最大4年間の滞在許可
  • 就労可能(就労許可の免除)
  • 滞在義務は無さそう
    • 更新時にパスポートなどが必要だが、スマートビザのスタンプを押したりするだけで、過去にどこに滞在していたかなどは問われ無さそう
  • スマートT、E、S は、タイ国内の企業が対象(※)
  • その他のメリット
    • 再入国の際の再入国許可証は不要
    • 90日毎の滞在レポートは1年毎で良い
    • タイの国際空港で、優先レーンの使用が可能

ターゲット産業に該当する業種であれば、タイに法人を設立して、社長=上級幹部として赴任して、スマートEビザを取得するというのは可能そうです。また、社員にスマートTビザを発行することも可能だと思います。

ただ、スマートビザの取得者は2018年の制度開始以降の累計でも1000人に満たないようで、あまり使いやすくなかったのか、周知が足りなかったものと思われます。

※: あるいは、「タイに派遣させる外国企業」(スマートTの場合)でも可能のようですが、その場合は、タイ国内の企業との業務委託契約書とかが必要なようです。

従来のスマートビザに関しての詳細は、Thailand Board of Investment (以下、BOI)が出している、以下の日本語の資料が分かりやすいです。

https://www.boi.go.th/upload/content/BOI_smart%20visa_JP_20180515_5b06828d663a7.pdf

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コロンビアに長期滞在可能な M ビザは安価に取得可能

南米コロンビアに長期滞在できる M ビザは、比較的安価に取得出来ます。コロンビアという国についてはあまり馴染みが無い人が多いと思いますので、国の紹介、その後にビザの説明をします。

コロンビアとは

一般的なイメージはサッカーか麻薬、コーヒー

普通の日本人にコロンビアという国の印象について聞いてみると、恐らく大半の人は南米のサッカー強国、あるいはコカイン売買をする南米マフィアがいる国、といった回答をすると思います。コーヒー好きの人であればコーヒーと答えるかもしれません。

サッカーでは、最近だと2014年W杯で活躍したハメス・ロドリゲス、古くはカルロス・バルデラマやレネ・イギータなどが有名です。

麻薬に関して言うと、メデジン・カルテルや、それを率いた「麻薬王」パブロ・エスコバルの名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。

コロンビアはコーヒーの一大生産地で、ブラジル、ベトナムに次ぐ世界第3位の生産量です。

実は治安は大幅に改善、経済も好調

ただ、現在のコロンビアは、メデジンカルテルの最盛期だった1990年前後に比べると治安は大幅に改善しており、国全体の殺人件数は当時の1/10以下になっていて、同じ南米のブラジルよりも少ないです。ただ、それでもアメリカの5倍、日本の100倍と、口が裂けても「治安が良い」とは言えませんが、以前のような無法地帯では無くなっています(以前がどれだけ酷かったんだという話でもありますが)。

世界の殺人発生率 国別ランキング・推移 – Global Note

ちなみに、コロンビアより殺人件数が多い国で有名どころとしては、南アフリカ(ヨハネスブルグの治安の悪さは有名)、ジャマイカなどがあります。

ただ、治安というのは殺人だけではなく色々な要素がありますし、以下の安全度ランキングですと、ジャマイカは80位くらいなのでそこまで悪くありません。それに対してコロンビアは140位。また、国全体としてはあまり治安が良くなくても、都市によっては治安が良いところも結構あります(フィリピンのセブなど)。したがって、住もうとしている都市について事前によく調べておくことをお勧めします。

安全度ランキング: Global indexes – Vision of Humanity

コロンビア経済は順調で、南米ではブラジル、アルゼンチンに次ぐ第3の経済規模を誇ります(中米のメキシコも含めると、メキシコが2位でコロンビアが4位)。経済成長率も近年は4%弱で安定的に推移しており、今後の発展が見込まれます。

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バミューダ諸島の Work from Bermuda

バミューダ諸島は北大西洋に位置するイギリスの海外領土ですが、そのバミューダ諸島でもリモートワーカー向けのビザがありますので、紹介します。

数日前に紹介したアンティグア・バーブーダの NDR ビザと似ている部分もありますので、その辺りについても触れます。

バミューダ諸島とは

北大西洋に位置するイギリスの海外領

こないだのアンティグア・バーブーダに比べると、バミューダ諸島は名前くらいは聞いたことがある人が多いと思います。バミューダ・トライアングル(※)やバミューダパンツが有名なためでしょう。

例によって、Wikipedia のリンクを貼っておきます。

バミューダ諸島 – Wikipedia

※: バミューダ・トライアングルの話は、ねつ造という事でほぼ確定のようです

高級リゾート

バミューダもアンティグア・バーブーダと似たような高級リゾートです。比較的手頃なホテルもありますが、1泊5万円以上するホテルも結構な数があります。

素敵なホテル・ビラが多く、ウェブサイトを見ているだけで楽しいです。いくつか、リンクを貼っておきます。

タックスヘイヴンのため、物価は世界一高い

多くの調査で、バミューダの物価は世界一高いという結果が出ています。実際に世界一かどうかはさておき、相当高いのは間違いないでしょう。

理由としては、バミューダはタックスヘイブンのため、富裕層が住んでいたり不動産を持っていたりするので、それによって物価が高くなったようです。バミューダに限った話ではありませんが、普通の現地人にとっては物価が高くて生活はなかなか大変なようです。

英語とポルトガル語が公用語

英領のため当然英語が公用語なのですが、ポルトガル語も公用語です。16世紀以降にポルトガルの移民が住み始めたからのようです。

ネット環境は?

ネットの速度を以下のサイトで調べてみましたが、利用者が少ないようでデータがありませんでした。(2021年6月5日現在)

Bermuda’s Mobile and Broadband Internet Speeds – Speedtest Global Index

アンティグア・バーブーダと同様にリゾート地なので、ホテルでメールや SNS をするのに困らないくらいの速さはありそうですが、動画をダウンロード・アップロードするのとかは時間がかかるかもしれません。

バミューダでの Wi-Fi サービスについては、以下のページに情報があります。

Bermuda Boasts Reliable WiFi Across the Island // Go To Bermuda

Work from Bermuda の概要

ここからが本題です。バミューダ諸島のデジタルノマドビザである「Work from Bermuda」について説明します。

  • 最長1年間滞在可能
    • 再度申請することにより更新も可能だが「ケースバイケース」とのこと
  • 手数料は263ドル(3万円弱)
  • 最低収入は設定されていない(収入の証明は必要)
  • バミューダ諸島外での雇用・ビジネスの証明が必要
  • オンラインで申請可能(現地に行く必要は無い)
  • 家族は別途申請が必要
    • 雇用・ビジネスの証明は、メインの申請者と同様のものを提出
  • 銀行口座の開設は(恐らく)可能

詳しくは、以下の公式サイトを参照して下さい。

Work from Bermuda Certificate – Work & Study Remotely // Go To Bermuda

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アンティグア・バーブーダ、NDRビザ

カリブ海の小国アンティグア・バーブーダでも、デジタルノマド向けのビザである Nomad Digital Residence Visa (以下、NDRビザ)があります。

アンティグア・バーブーダとは

カリブ海にあるマイナーな国(・・・のはず)

そもそもこの国の存在を知っている人は少ないと思います。私も調べ始めるまでは国の名前すら聞いたことがありませんでした。

カリブ海の国だと、ジャマイカ、キューバ、ハイチ、ドミニカ共和国、トリニダード・トバゴくらいまではそこそこ有名だと思いますが、それ以外にも結構色々あるんですね。興味のある方は以下のページを参照して下さい。

ちなみに、私はアンティグア・バーブーダ以外ですと、ベリーズ、セントクリストファー・ネイビスも初耳でした。

アフリカ・カリブ海・太平洋諸国 – Wikipedia

また、検索しても、日本語の旅行記はかなり少ないので、日本人の場合は相当な旅行好き以外は訪れたことは無さそうです。

Wikipedia も、日本語のページは大した情報が無かったので、英語のページを読んだ方が良さそうです。

高級リゾート

英語版 Wikipedia やいくつかのウェブサイトによれば、アンティグア・バーブーダの主要産業は、多くのカリブ海諸国と同様で観光です。

高級リゾートのようで、欧米の富裕層も多く訪れるようです。”Antigua and Barbuda hotels” で検索すると以下のような素敵なホテル・ヴィラが沢山出てきます。新婚旅行でいく人も多いみたいで、日本人にとってのニューカレドニアとかそんな位置づけのような気がします。

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ジョージアのリモートワークビザ

ヨーロッパとアジアの境あたりに位置する、旧ソ連のジョージアでも、リモートワーカー向けのビザがありますので、それについて紹介します。正式名称は “Remotely from Georgia” というようです。以下、申し込みフォームです。

Remotely from Georgia Application Form
(2022年4月17日現在、フォームが inactive となっていて申し込み出来ません)

日本人はビザ無しでも1年間滞在可能

ただ、いきなり話の腰を折ってしまいますが、そもそも日本人であればジョージアにはビザ無しで1年間滞在可能です。

滞在の条件は以下の通りです。

  • 日本国籍(日本を含む50カ国)
  • 6ヶ月以上有効なパスポート
    • 査証欄の空きが1ページ以上
  • 滞在期間をカバーする旅行保険の加入

知る人ぞ知るという感じではあったのですが、実はジョージアはビザの取得や入国に関する規則が緩い国です。

  • ビザ無しで1年間滞在可能(上述の通り)
  • 一度、隣国に出国した後、再度ジョージアに入国すると再度1年間滞在可能
  • リモートワーク等の労働は可能(※)

ただ、場合によってはビザ無しより Remotely from Georgia のビザを取得した方が良いケースもあると思いますので、それについては後の方で記載します。

※: 多くの国では、ビザ無し渡航は観光や仕事での出張を想定しており、現地で仕事をして定住するという事は想定しておらず、法的にはグレーゾーンです。実際に警察や入管から指摘されることはほとんどありませんが。

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ポルトガル D7 ビザ、滞在許可証

D7 ビザは、年金などの収入がある人がポルトガルに4ヶ月滞在可能なビザです。その後、現地で1年間有効(その後は2年ごとに更新)滞在許可証を取得出来ます。

D7 ビザ(4ヶ月間有効) → 滞在許可証(1年間有効)

という流れであり、D7 ビザと滞在許可証は別物なのですが、本投稿ではまとめて説明します。

D7 ビザ概要

D7 ビザは以下の特徴があります。リタイアメントビザの1つと分類して良いと思います。

  • 年齢制限無し
  • 年に6ヶ月の滞在義務
  • 4ヶ月間有効
    • 現地で1年間有効(その後2年ごとに更新)な滞在許可証(residence permit)が取得可能
    • 5年後に、5年間有効な「永住権」を申請可能
  • 家族も滞在可能
  • 銀行口座開設可能
    • 証券口座も開設可能
  • 就学可能
  • 就労(現地の企業に雇用される)は不可
  • 現地の健康保険制度を使用可能

最初にも書いた通り

D7 ビザ(4ヶ月間有効) → 滞在許可証(1年間有効)

という流れですが、業者などによっては

  • 「D7 ビザ」を「D7一時ビザ (temporary D7 visa)」
  • 「滞在許可証」を「D7ビザ (D7 visa, permanent D7 visa)」

と言っている場合もあるので注意が必要です。

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エストニアのデジタルノマドビザ

北欧のIT先進国であるエストニアで、デジタルノマドを対象としたビザの制度が2020年8月に始まりました。

公式情報はこちら。

Digital Nomad Visa | e-Residency

エストニアとは

詳しくは Wikipedia などを見てもらうとして、ここでは簡単にエストニアについて紹介します。

エストニア – Wikipedia

地理: バルト三国の1つ

地理的には所謂バルト三国の1つで、北欧にあります。ロシアと面していて、フィンランドとは海を挟んで向かい合わせ、と書けば、大まかな位置は分かってもらえるかと思います。

政治経済: EU、シェンゲン協定加盟国

政治的には EU、シェンゲン協定加盟国であり、NATO にも加盟しています。また、通貨はユーロですし、シェンゲン協定に加盟しているので、加盟国間の移動時に検査とかも無いです。

つまり、日本人が一般的に考えるような EU 加盟国の一つです。

IT 先進国

日本人に取ってエストニアというと「電子政府」が有名だと思います。エストニアでは、行政サービスのほとんどはオンラインで可能で、個人の ID カード(日本でいうとマイナンバーカード)が運転免許証などにもなっているようです。

デジタルノマドビザ(DNV)概要

まずは、デジタルノマドビザ(以下、DNV)の概要です。

  • 最大1年間エストニアに滞在可能
    • 延長は不可
  • リモート(オンライン)で働ける人が対象
    • エストニア国外の企業の社員
    • エストニア国外の企業のオーナー等
    • エストニア国外の顧客と主に取引するフリーランス
  • 申請費用は100ユーロ(※)
  • 申請前の6ヶ月間、最低3,504ユーロ/月の収入があること

※: 90日以内の場合は80ユーロ

エストニアには、e-Residency という、オンラインで簡単にエストニア法人が作れる仕組みがあるのですが、それとは全く別物です。e-Residency では、エストニアに物理的に滞在することは出来ません。

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